UNIVARIATEプロシジャ

例4.31 対数正規分位点プロットからの3パラメータの推定

この例は例4.30の続きで、3パラメータ対数正規分布の形状パラメータ、しきい値パラメータ、尺度パラメータ、理論パーセント点を推定する方法を示しています。

3パラメータ対数正規分布は、しきい値パラメータ$\theta $、尺度パラメータ$\zeta $、形状パラメータ$\sigma $に依存します。SIGMA= 2次オプションを使用して、さまざまな$\sigma $の値を指定した一連の対数正規Q-Qプロットから、$\sigma $を推定できます。点のパターンが線形になる値が$\sigma $の推定値になります。次に、点のパターンの切片と傾きから、しきい値パラメータと尺度パラメータを推定できます。次のステートメントは、$\sigma $値に0.2、0.5および0.8を使用して、出力4.31.1出力4.31.2出力4.31.3に、一連のプロットをそれぞれ作成します。

title 'Lognormal Q-Q Plot for Diameters';
proc univariate data=Measures noprint;
   qqplot Diameter / lognormal(sigma=0.2 0.5 0.8)
                     square
                     odstitle = title;
run;

: 対数正規Q-Qプロットの形状パラメータ$\sigma $の値は、SIGMA=オプションまたはその別名のSHAPE=オプションで指定する必要があります。

出力4.31.1: 対数正規Q-Qプロット($\sigma $ =0.2)

対数正規Q-Qプロット(σ =0.2)


出力4.31.2: 対数正規Q-Qプロット($\sigma $ =0.5)

対数正規Q-Qプロット(σ =0.5)


出力4.31.3: 対数正規Q-Qプロット($\sigma $ =0.8)

対数正規Q-Qプロット(σ =0.8)


出力4.31.2のプロットに最も線形に近い点のパターンが表示され、$\sigma =0.5$による当てはめがデータ分布に対して適切であることを示しています。

この対数正規分布によるデータの密度関数は次のようになります。

\[  p(x)=\left\{  \begin{array}{ll} \frac{\sqrt {2}}{\sqrt {\pi }(x-\theta )} \exp \left( -2(\log (x-\theta )-\zeta )^{2}\right) &  \mbox{ for }x > \theta \\ 0 &  \mbox{ for } x \leq \theta \end{array} \right.  \]

プロットの点は、切片が$\theta $で傾きが$\exp (\zeta )$の線上またはその近くにプロットされます。出力4.31.2に基づいて、$\theta \approx 5$および$\exp (\zeta ) \approx \frac{1.2}{3} = 0.4$で、$\zeta \approx \log (0.4) \approx -0.92$が求められます。

SIGMA=、THETA=およびZETA=の各オプションを併用して、参照線を要求することもできます。次のステートメントは出力4.31.4の対数正規Q-Qプロットを作成します。

title 'Lognormal Q-Q Plot for Diameters';
proc univariate data=Measures noprint;
   qqplot Diameter / lognormal(theta=5 zeta=est sigma=est)
                     square
                     odstitle = title;
run;

出力4.31.1から出力4.31.3は、しきい値パラメータ$\theta $が0に等しくないことを示しています。THETA=5の指定はデフォルト値の0より優先されます。SIGMA=ESTおよびZETA=ESTの2次オプションは、標本平均と標準偏差による$\sigma $$\exp \zeta $の推定値を要求します。

出力4.31.4: 対数正規Q-Qプロット($\sigma $ =est、$\zeta $ =est、$\theta $ =5)

対数正規Q-Qプロット(σ =est, =est, θ =5)


出力4.31.2のプロットから、$\sigma $は0.51と推定できます。これは出力4.31.2のプロットから導びかれる推定値0.5と一致しています。 例4.32では、対数正規Q-Qプロットを使用してパーセント点を推定する方法を示しています。

この例のサンプルプログラムuniex18.sasは、Base SASソフトウェアのSASサンプルライブラリに含まれています。