UNIVARIATEプロシジャ

例4.26 対数正規確率プロットの作成

この例はデータ分布のモデル化のセクションで説明した例の続きです。

出力4.6に示されている正規確率プロットでは、点のパターンが非線形であることにより、Deviationの分布が正規分布から乖離していることが示されています。点のパターンは左から右へと増加する傾きでカーブしているため、対数正規分布のような右に片寄った理論分布は、正規分布よりも優れた適合を提供します。Q-Qプロットと確率プロットの解釈のセクションを参照してください。

対数正規確率プロットを使用して、対数正規分布の当てはめの確率を調べることができます。このようなプロットを要求する場合、対数正規分布の形状パラメータ$\sigma $を指定する必要があります。この値は正である必要があり、$\sigma $一般的な値の範囲は0.1から1.0までです。$\sigma $の値はLOGNORMAL 1次オプションのSIGMA= 2次オプションで指定できます。または、データから$\sigma $を推定するよう指定できます。

次のステートメントは最初の手法を示す、データ分布のモデル化のセクションで説明した変数Deviationに対する3つの対数正規確率プロットを作成しています。

title 'Lognormal Probability Plot for Position Deviations';
ods graphics on;
proc univariate data=Aircraft noprint;
   probplot Deviation /
      lognormal(theta=est zeta=est sigma=0.7 0.9 1.1)
      odstitle = title
      href     = 95
      square;
run;

LOGNORMAL 1次オプションで対数正規分布族に基づくプロットを要求し、SIGMA= 2次オプションで$\sigma $が0.7、0.9および1.1に等しいプロットを要求しています。これらのプロットは出力4.26.1出力4.26.2および出力4.26.3にそれぞれ表示されています。または、オプションSIGMA=ESTを使用すると、$\sigma $を標本標準偏差により推定するよう指定できます。

SQUARE オプションで確率プロットを正方形の枠の中で表示し、HREF= オプションで95番目のパーセント点の位置の参照線を要求します。

出力4.26.1: $\sigma $ =0.7の対数正規分布に基づく確率プロット

σ =0.7の対数正規分布に基づく確率プロット


出力4.26.2: $\sigma $ =0.9の対数正規分布に基づく確率プロット

σ =0.9の対数正規分布に基づく確率プロット


出力4.26.3: $\sigma $ =1.1の対数正規分布に基づく確率プロット

σ =1.1の対数正規分布に基づく確率プロット


出力4.26.2$\sigma =0.9$の場合に、点のパターンが最も線形に近くなっています。出力4.26.2で示されている位置偏差分布の95番目のパーセント点は約0.001です。これは、この値が点のパターンと参照線の交点に近いことによってわかります。

: 最も線形に当てはまる$\sigma $が見つかった後、しきい値パラメータ$\theta $と尺度パラメータ$\zeta $を推定できます。例4.31を参照してください。

次のステートメントは、$\sigma $に局所最尤推定値を使用して、Deviationの対数正規確率プロットを作成する方法を示しています。

title 'Lognormal Probability Plot for Position Deviations';
proc univariate data=Aircraft noprint;
   probplot Deviation / lognormal(theta=est zeta=est sigma=est)
                        href     = 95
                        odstitle = title
                        square;
run;

このプロットは出力4.26.4に表示されています。なお、$\sigma $の最尤推定値(この場合は0.882)は、必ずしも最も線形に近い点のパターンを作成する必要はありません。

出力4.26.4: 推定した$\sigma $による対数正規分布に基づく確率プロット

推定したσによる対数正規分布に基づく確率プロット


この例のサンプルプログラムuniex16.sasは、Base SASソフトウェアのSASサンプルライブラリに含まれています。