FREQプロシジャ

Cochran-Mantel-Haenszel統計量

TABLESステートメントでCMHオプションを指定すると、多元表内の層変数に関する補正を行った上で、行変数と列変数間の関係の層化分析が行えます。たとえば、表要求がA*B*C*Dである場合、CMHオプションを指定すると、ABに関する補正を行った上で、CD間の関係の分析が行われます。層化分析は、AおよびBに対するパラメータ推定を強制せずに、それらに生じうる交絡的影響を補正する方法を提供します。

CMH分析はCochran-Mantel-Haenszel統計量を生成します。これには、相関統計量、ANOVA (行平均スコア)統計量、一般連関性統計量が含まれます。$2 \times 2$表の場合、CMHオプションを指定すると、共通オッズ比と共通相対リスクに関するMantel-Haenszel推定値およびロジット推定値に加えて、オッズ比の等質性に関するBreslow-Day検定も計算されます。

層化された$2 \times 2$表の場合、正確な統計量も提供されます。EXACTステートメントでEQORオプションを指定すると、FREQプロシジャは、オッズ比の等質性に対するZelenの正確検定を実施します。 EXACTステートメントでCOMORオプションを指定すると、FREQプロシジャは、共通オッズ比に関する正確な信頼限界と、共通オッズ比が1に等しいかどうかの正確検定を計算します。

層の数をqで表し、$h = 1, 2, \ldots , q$により層をインデックス付けします。各層には、行変数Xと列変数Yを持つ分割表が含まれています。表hの場合、行ijのセル度数を$n_{hij}$で表し、行と列の周辺合計をそれぞれ$ n_{hi.}$ および$ n_{h.j}$で、全体的な層の合計を$ n_ h$で表します。

Cochran-Mantel-Haenszel統計量の公式は行列で表した方がより簡単に定義できるため、次のような表記を使用します。ベクトルは転置$(^{\prime })$でない限り、列ベクトルであると推定されます。

\[  \begin{array}{lllll} \mb{n}_{hi}^{\prime } &  = &  (n_{hi1},n_{hi2},\ldots ,n_{hiC}) & &  (1 \times C) \\[0.10in] \mb{n}_ h^{\prime } &  = &  (\mb{n}_{h1}^{\prime },\mb{n}_{h2}^{\prime },\ldots , \mb{n}_{hR}^{\prime }) & &  (1 \times RC) \\[0.10in] p_{hi \cdot } &  = &  n_{hi \cdot } ~  / ~  n_ h & &  (1 \times 1) \\[0.10in] p_{h \cdot j} &  = &  n_{h \cdot j} ~  / ~  n_ h & &  (1 \times 1) \\[0.10in] \mb{P}_{h* \cdot }^{\prime } &  = &  (p_{h1 \cdot },p_{h2 \cdot }, \ldots ,p_{hR \cdot }) & &  (1 \times R) \\[0.10in] \mb{P}_{h \cdot *}^{\prime } &  = &  (p_{h \cdot 1},p_{h \cdot 2}, \ldots ,p_{h \cdot C}) & &  (1 \times C) \\ \end{array}  \]

層は独立であり、かつ各層の周辺の合計は固定であるとします。帰無仮説$ H_0$は、いずれの層におけるXおよびY間にも連関性が存在しないになります。モデルは、多重超幾何分布になります。これは、$ H_0$の下で、度数の期待値および共分散行列がそれぞれ次のようになることを意味します。

\[  \mb{m}_ h = \mb{E}[\mb{n}_ h ~ |~  H_0] = n_ h(\mb{P}_{h \cdot *} \otimes \mb{P}_{h* \cdot })  \]
\[  \mb{Var}[\mb{n}_ h ~ |~  H_0] = c \left( ~  (\mb{D}_{\mb{P}h \cdot *} - \mb{P}_{h \cdot *}\mb{P}_{h \cdot *}^{\prime }) \otimes (\mb{D}_{\mb{P}h* \cdot } - \mb{P}_{h* \cdot }\mb{P}_{h* \cdot }^{\prime }) ~  \right)  \]

ここで、

\[  c = n_ h^2 ~  / ~  (n_ h-1)  \]

また、ここで、 $\otimes $はKronecker積を表し、$\mb{D_ a}$は主対角線上に$\mb{a}$の要素を含む対角行列です。

一般化されたCMH統計量(Landis, Heyman, and Koch, 1978)は次のように定義されます。

\[  Q_{\mi{CMH}} = \mb{G}^{\prime }\mb{V_ G}^{-1}\mb{G}  \]

ここで、

\begin{eqnarray*}  \mb{G} &  = &  \sum _ h \mb{B}_ h(\mb{n}_ h - \mb{m}_ h ) \\[0.10in] \mb{V}_{\mb{G}} &  = &  \sum _ h \mb{B}_ h \left( \mb{Var}[\mb{n}_ h ~ |~  H_0] \right) \mb{B}_ h^{\prime } \end{eqnarray*}

また、ここで、

\[  \mb{B}_ h = \mb{C}_ h \otimes \mb{R}_ h  \]

は、列スコア$ \mb{C}_ h$および行スコア$ \mb{R}_ h$に基づく固定された定数行列です。帰無仮説が真である場合、CMH統計量は、$ \mb{B}_ h$の順位に等しい自由度を持つ漸近カイ2乗分布に従います。$ \mb{V_ G}$が特異であることが判明した場合、FREQプロシジャはメッセージを表示し、CMH統計量の値に欠損値を設定します。

FREQプロシジャは、一般化されたCMH統計量の公式を、統計量ごとに異なる行スコアと列スコアを組み合わせて使用することにより、3つのCMH統計量を計算します。FREQプロシジャが計算するCMH統計量は、相関統計量、ANOVA (行平均スコア)統計量、一般連関性統計量です。これらの統計量を使用することで、連関性がないという帰無仮説を、各種の対立仮説に照らして検定できます。これらのCMH統計量の計算方法については、次の各セクションで説明します。

注意: CMH統計量は、一部の層の連関性のパターンが他の層により表示されるパターンの反対方向に存在する場合、連関性の検出力が低くなります。このため、有意でないCMH統計量は、連関性がないことか、または他のパターンよりも優勢となるために十分な強度や整合性を持つ連関性のパターンが存在しないことを示唆します。

相関統計量

相関統計量は、Mantel and Haenszelにより一般化されたものであり、1つの自由度を持ち、Mantel-Haenszel統計量とも呼ばれます(Mantel and Haenszel, 1959、Mantel, 1963)。

相関統計量の対立仮説は、少なくとも1つの層におけるXYの間に線形連関性が存在することになります。XまたはYのいずれかが順序(または区間)尺度でない場合、この統計量は無意味となります。

相関統計量を計算する場合、FREQプロシジャは、一般化されたCMH統計量の公式を、TABLESステートメントのSCORES=に指定された行スコアと列スコアと共に使用します。利用可能なスコアの種類の詳細は、スコアのセクションを参照してください。行スコアの行列$ \mb{R}_ h$は次元$1 \times R$を持ち、列スコアの行列$ \mb{C}_ h$は次元$1 \times C$を持ちます。

存在する層が1つだけの場合、このCMH統計量は$ (n-1)r^2$となります。ここで、rXYの間のPearson相関係数です。ノンパラメトリックな(RANKまたはRIDIT)スコアが指定された場合、この統計量は$ (n-1)r_ s^2$になります。ここで、$ r_ s$XYの間のSpearman順位相関係数です。複数の層が存在する場合、CMH統計量は層に関して調整済みの相関統計量になります。

ANOVA (行の平均スコア)統計量

ANOVA統計量は、列変数Yが順序(または区間)尺度であり、Yの平均スコアが有意である場合にのみ利用できます。ANOVA統計量では、表の行ごとに平均スコアが計算されます。対立仮説は、少なくとも1つの層に関してR個の行の平均スコアが等しくないことになります。これは、同統計量がYR分布間における位置の差異に影響を受けやすいことを意味します。

列スコアの行列$ \mb{C}_ h$は次元$1 \times C$を持ちます。この列スコアはSCORES=オプションにより決定されます。

行スコアの行列$ \mb{R}_ h$は次元$(R-1) \times R$を持ちます。これはFREQプロシジャにより次のように生成されます。

\[  \mb{R}_ h = \left[ \mb{I}_{R-1} , -\mb{J}_{R-1} \right]  \]

ここで、$\mb{I}_{R-1}$は順位R - 1の恒等行列であり、$\mb{J}_{R-1}$は恒等行列の$(R-1) \times 1$ベクトルです。この行列は、R平均スコアに関するR – 1の独立対比の形成に関して影響を与えます。

1つの層のみが存在する場合、このCMH統計量は本質的に分散分析(ANOVA)統計量となります。これは、独立変数Yの一元ANOVAから導かれる分散比率F統計量の関数であることを意味します。この場合、ノンパラメトリックスコアを指定すると、ANOVA統計量はKruskal-Wallis検定になります。

複数の層が存在する場合、このCMH統計量は、層に関して調整済みのANOVAまたはKruskal-Wallis検定になります。 各層の分割表内の行および列ごとにそれぞれ1つのサブジェクトが存在するという特殊なケースでは、このCMH統計量はFriedmanのカイ2乗統計量と同じになります。概要については例3.9を参照してください。

一般連関性統計量

一般連関性統計量の対立仮説は、少なくとも1つの層において、XYの間にある種の連関性が存在することになります。この統計量はXまたはYが順序尺度であることを必要としないため、常に解釈可能となります。

一般連関性統計量の場合、行列$ \mb{R}_ h$は、ANOVA統計量で使用される行列と同じになります。同様に、行列$ \mb{C}_ h$は次のように定義されます。

\[  \mb{C}_ h = \left[ \mb{I}_{C-1} , -\mb{J}_{C-1} \right]  \]

FREQプロシジャは、両方のスコア行列を内部的に生成します。1つの層のみが存在する場合、一般連関性CMH統計量は$Q_ P (n-1)/n$になります。ここで、$Q_ P$はPearsonカイ2乗統計量です。複数の層が存在する場合、CMH統計量は層に関して調整済みのPearsonカイ2乗統計量になります。層を通じてカイ2乗統計量を合計することにより、同様の調整を実施できます。 ただし、後者の統計量は、結果として生成される自由度がq(R–1)(C–1)のカイ2乗分布をサポートするために、各層で大きな標本サイズを必要とします。CMH統計量は、自由度として(R–1)(C–1)のみを持つため、全体的に大きな標本サイズのみを必要とします。

詳細は、Cochran (1954)、Mantel and Haenszel (1959)、Mantel (1963)、Birch (1965)、Landis, Heyman, and Koch (1978)を参照してください。

Mantel-Fleiss基準

TABLESステートメントでCMH(MANTELFLEISS)オプションを指定すると、FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表のMantel-Fleiss基準を計算します。Mantel-Fleiss基準を使うことで、$2 \times 2$表のMantel-Haenszel統計量の分布に対するカイ2乗近似の妥当性を評価できます。詳細については、Mantel and Fleiss (1980)、Mantel and Haenszel (1959)、Stokes, Davis、Koch (2012)、Dmitrienko et al. (2005)を参照してください。

Mantel-Fleiss基準は次のように計算されます。

\[  \mathit{MF} = \min ~  \left( ~  \left[ \sum _ h m_{h11} - \sum _ h (n_{h11})_ L \right], ~ ~  \left[ \sum _ h (n_{h11})_ U - \sum _ h m_{h11} \right] ~  \right)  \]

ここで、$m_{h11}$は、表h内の行と列の間に連関性がないという帰無仮説の下での$n_{h11}$の期待値、$(n_{h11})_ L$は表のセル度数が取りうる最小値、$(n_{h11})_ U$は表のセル度数が取りうる最大値です。

\begin{eqnarray*}  m_{h11} & =&  n_{h1 \cdot } ~  n_{h \cdot 1} ~  / ~  n_ h \\[0.10in] (n_{h11})_ L & =&  \max \left( ~  0, ~ ~  n_{h1 \cdot } - n_{h \cdot 2} ~  \right) \\[0.10in] (n_{h11})_ U & =&  \min \left( ~  n_{h \cdot 1}, ~ ~  n_{h1 \cdot } ~  \right) \end{eqnarray*}

Mantel-Fleissガイドラインは、基準値が少なくとも5である場合、Mantel-Haenszel近似を受け入れます。基準値が5未満である場合、FREQプロシジャは警告を表示します。

調整済みオッズ比と相対リスク推定値

CMHオプションを指定すると、層化された$2 \times 2$表に対する調整済みオッズ比と相対リスク推定値を計算できます。これらの統計量のそれぞれに関して、FREQプロシジャはMantel-Haenszel推定値とロジット推定値を計算します。これらの推定値は、行変数と列変数が両方とも2つの水準を持つ場合、TABLESステートメントにおけるn元表の要求に対して適用されます。

たとえば、表の要求A*B*C*Dで、行変数Cおよび列変数Dの両方が2つの水準を持つ場合、FREQプロシジャは、交絡変数AおよびBを補正した上でオッズ比と相対リスク推定値を計算します。

適切な統計量の選択は、研究デザインにより異なります。ケースコントロール(後向き)研究の場合、オッズ比が適しています。コーホート(前向き)研究またはクロスセクション研究の場合、相対リスクが適しています。これらの統計量に関する詳細は、2x2表に対するオッズ比と相対リスクのセクションを参照してください。

本セクション全体で、zは標準正規分布の$100(1-\alpha /2)$番目のパーセント点を表します。

オッズ比、ケースコントロール研究

FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表の共通オッズ比のMantel-Haenszel推定値およびロジット推定値を計算します。

Mantel-Haenszel推定量 共通オッズ比のMantel-Haenszel推定値は次のように計算されます。

\[  \mathit{OR}_{\mi{MH}} = \left( \sum _ h n_{h11} ~  n_{h22} / n_ h \right) ~  / ~  \left( \sum _ h n_{h12} ~  n_{h21} / n_ h \right)  \]

これは、分母がゼロでない限り必ず計算されます。詳細は、Mantel and Haenszel (1959)およびAgresti (2002)を参照してください。

共通オッズ比の信頼限界を計算する場合、FREQプロシジャは$\ln (\mathit{OR}_{\mi {MH}})$のRobins, Breslow, and Greenland (1986)の分散推定値を使用します。共通オッズ比の$100(1-\alpha /2)$%の信頼限界は、次のように計算されます。

\[  \bigl ( ~  \mathit{OR}_{\mi{MH}} \times \exp (-z \hat{\sigma }), ~ ~  \mathit{OR}_{\mi{MH}} \times \exp ( z \hat{\sigma }) ~  \bigr )  \]

ここで、

\begin{eqnarray*}  \hat{\sigma }^2 &  = &  \widehat{\mr{Var}}(~ \ln (\mathit{OR}_{\mi{MH}})~ ) \\[0.10in]&  = &  \frac{\sum _ h (n_{h11} + n_{h22}) (n_{h11} ~  n_{h22}) / n_ h^2}{2 \left( \sum _ h n_{h11} ~  n_{h22} / n_ h \right)^2} \\[0.10in]& &  + ~  \frac{\sum _ h [ (n_{h11} + n_{h22})(n_{h12} ~  n_{h21}) + (n_{h12} + n_{h21})(n_{h11} ~  n_{h22}) ] / n_ h^2}{2 \left( \sum _ h n_{h11} ~  n_{h22} / n_ h \right) \left( \sum _ h n_{h12} ~  n_{h21} / n_ h \right)} \\[0.10in]& &  + ~  \frac{\sum _ h (n_{h12} + n_{h21}) (n_{h12} ~  n_{h21}) / n_ h^2}{2 \left( \sum _ h n_{h12} ~  n_{h21} / n_ h \right)^2} \end{eqnarray*}

Mantel-Haenszelのオッズ比推定量は、ロジット推定量に比べて、小さい$n_ h$に影響を受けにくくなります。

ロジット推定量共通オッズ比の調整済みロジット推定値(Woolf, 1955)は、次のように計算されます。

\[  \mathit{OR}_{\mi{L}} = \exp \left( \sum _ h w_ h \ln (\mathit{OR}_ h) ~  / ~  \sum _ h w_ h \right)  \]

対応する$100(1 - \alpha )$%の信頼限界は次のように計算されます。

\[  \left( ~ \mathit{OR}_{\mi{L}} \times \exp \left( -z / \sqrt {\sum _ h w_ h} \right) , ~ ~  \mathit{OR}_{\mi{L}} \times \exp \left( z / \sqrt {\sum _ h w_ h} \right) ~  \right)  \]

ここで、$\mathit{OR}_ h$は層hのオッズ比であり、次の式が成り立ちます。

\[  w_ h = 1 / \mr{Var}(\ln (\mathit{OR}_ h))  \]

hにおける任意の表のセル頻度がゼロである場合、FREQプロシジャはその層の各セルに0.5を加算した後、ロジット推定値の$\mathit{OR}_ h$および$w_ h$を計算します(Haldane, 1955)。これが発生すると、このプロシジャは警告を表示します。

相対リスク、コーホート研究

FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表の共通相対リスクのMantel-Haenszel推定値およびロジット推定値を計算します。

Mantel-Haenszel推定量列1の共通相対リスクのMantel-Haenszel推定値は次のように計算されます。

\[  \mathit{RR}_{\mi{MH}} = \left( \sum _ h n_{h11} ~  n_{h2 \cdot } ~  / ~  n_ h \right) ~  / ~  \left( \sum _ h n_{h21} ~  n_{h1 \cdot } ~  / ~  n_ h \right)  \]

これは、分母がゼロでない限り必ず計算されます。詳細は、Mantel and Haenszel (1959)およびAgresti (2002)を参照してください。

共通相対リスクの信頼限界を計算する場合、FREQプロシジャは、$\log (\mathit{RR}_{\mi {MH}})$のGreenland and Robins (1985)の分散推定値を使用します。共通相対リスクの$100(1-\alpha /2)$%の信頼限界は、次のように計算されます。

\[  \bigl ( ~  \mathit{RR}_{\mi{MH}} \times \exp (-z \hat{\sigma }), ~ ~  \mathit{RR}_{\mi{MH}} \times \exp ( z \hat{\sigma }) ~  \bigr )  \]

ここで、

\[  \hat{\sigma }^2 = \widehat{\mr{Var}}(~ \ln (\mathit{RR}_{\mi{MH}})~ ) = \frac{\sum _ h (n_{h1 \cdot } ~  n_{h2 \cdot } ~  n_{h \cdot 1} - n_{h11} ~  n_{h21} ~  n_ h) / n_ h^2 }{ \left( \sum _ h n_{h11} ~  n_{h2 \cdot } / n_ h \right) \left( \sum _ h n_{h21} ~  n_{h1 \cdot } / n_ h \right) }  \]

ロジット推定量列1の共通相対リスクの調整済みロジット推定値は次のように計算されます。

\[  \mathit{RR}_{\mi{L}} = \exp \left( \sum _ h w_ h \ln (\mathit{RR}_ h) ~  / ~  \sum w_ h \right)  \]

対応する$100(1 - \alpha )$%の信頼限界は次のように計算されます。

\[  \left( ~  \mathit{RR}_{\mi{L}} \times \exp \left( -z ~  / ~  \sqrt {\sum _ h w_ h} \right), ~ ~  \mathit{RR}_{\mi{L}} \times \exp \left( z ~  / ~  \sqrt {\sum _ h w_ h} \right) ~  \right)  \]

ここで、$\mathit{RR}_ h$は層hの列1の相対リスク推定値であり、次の式が成り立ちます。

\[  w_ h = 1 ~  / ~  \mbox{Var}( \ln ( \mathit{RR}_ h ) )  \]

$n_{h11}$ または$n_{h21}$がゼロである場合、FREQプロシジャはその層の各セルに0.5を加算した後、ロジット推定値の$\mathit{RR}_ h$および$w_ h$を計算します。これが発生すると、このプロシジャは警告を表示します。詳細は、Kleinbaum, Kupper, and Morgenstern (1982, Sections 17.4 and 17.5)を参照してください。

オッズ比の等質性に対するBreslow-Day検定

CMHオプションを指定すると、FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表に対するBreslow-Day検定を計算します。これは、q個の層でオッズ比が等しいという帰無仮説を検定します。この帰無仮説が真である場合、この統計量は、自由度がq–1のカイ2乗分布に近似的に従います。詳細は、Breslow and Day (1980)およびAgresti (2007)を参照してください。

Breslow-Day統計量は次のように計算されます。

\[  Q_{\mi{BD}} = \sum _ h \left( n_{h11} - \mr{E}( n_{h11}~ |~ \mathit{OR}_{\mi{MH}} ) \right)^2 ~  / ~  \mr{Var}( n_{h11}~ |~ \mathit{OR}_{\mi{MH}} )  \]

ここで、EおよびVarは、それぞれ期待値と分散を表します。合計には、ゼロの行または列を含む表は含まれません。$\mathit{OR}_{\mi{MH}}$がゼロに等しいかまたは未定義の場合、FREQプロシジャはこの統計量を計算せずに、警告メッセージを表示します。

Breslow-Day検定が妥当であるためには、標本サイズが各層で相対的に大きくなければならず、しかも期待されるセルカウントの最低80%が5よりも大きいことが必要です。これは、$q \times 2 \times 2$表に対するCochran-Mantel-Haenszel検定の要件よりもさらに厳密な標本サイズ要件です。この場合、(全体的な標本サイズではなく)各層の標本サイズが相対的に大きいことが必要となります。Breslow-Day検定が妥当である場合でも、特定の対立仮説に照らした場合はそれほど強力でないことがあります。詳細はBreslow and Day (1980)を参照してください。

BDTオプションを指定すると、FREQプロシジャは、Taroneの調整を伴うBreslow-Day検定を計算します。これは、調整因子を$Q_{\mi{BD}}$から差し引くことで、結果として生成される統計量が漸近カイ2乗分布に従うようにします。Breslow-Day-Tarone統計量は次のように計算されます。

\[  Q_{\mi{BDT}} = Q_{\mi{BD}} ~  - ~  \left( \sum _ h \left( n_{h11} - \mr{E}(n_{h11}~ |~ \mathit{OR}_{\mi{MH}}) \right) \right) ^2 ~  / ~  \sum _ h \mr{Var} (n_{h11}~ |~ \mathit{OR}_{\mi{MH}})  \]

詳細については、 Tarone (1985)、Jones et al. (1989)、Breslow (1996)を参照してください。

オッズ比の等質性に対するZelenの正確検定

EXACTステートメントでEQORオプションを指定すると、FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表でのオッズ比の等質性に対するZelenの正確検定を実施します。Zelenの検定は、オッズ比の等質性に対するBreslow-Dayの漸近検定を正確にしたものです。Zelenの検定の参照集合には、観測された多元クロス表と同じ行、列、および層合計を持ち、かつ観測された表と同じセル(1,1)の度数の合計を持つ、すべての可能な$q \times 2 \times 2$表が含まれます。この検定統計量は、固定マージンの条件付きの観測された$q \times 2 \times 2$の確率になります。これは、超幾何確率の積で表されます。

Zelenの検定の p値は、観測された表確率以下のすべての表確率の合計になります。ここで、この合計は、固定マージンにより決定された参照集合内にあるすべての表と、セル(1,1)の度数の観測された合計を通じて計算されます。この検定は、二元表に対するFisherの正確検定に類似しています。詳細は、Zelen (1971)、Hirji (2006)、Agresti (1992)を参照してください。FREQプロシジャは、多項式の乗算アルゴリズムを使用してZelenの正確検定を計算します。このアルゴリズムについては、Hirji et al. (1996)を参照してください。

共通オッズ比の正確な信頼限界

EXACTステートメントでCOMORオプションを指定すると、FREQプロシジャは、層化された$2 \times 2$表での共通オッズ比の正確な信頼限界を計算します。この計算では、すべての$2 \times 2$表でオッズ比が一定であることを仮定します。正確な信頼限界は、$S = \sum _ h n_{h11}$の分布から作成されます。この分布の条件は、$2 \times 2$表の周辺合計です。

これは離散的な問題であるため、これらの正確な信頼限界の信頼係数は、厳密には$(1-\alpha )$ではなく最小で$(1-\alpha )$となります。このため、これらの信頼限界は保守的となります。詳細は、Agresti (1992)を参照してください。

FREQプロシジャは、Vollset, Hirji, and Elashoff (1991)に基づくアルゴリズムを使用して、共通オッズ比の正確な信頼限界を計算します。詳細は、Mehta, Patel, and Gray (1985)も参照してください。

$2 \times 2$hの周辺合計に応じて、ランダム変数$S_ h$が表セル(1,1)の度数を表すようにします。行合計が$ n_{h 1 \cdot }$および$ n_{h 2 \cdot }$で、列合計が$ n_{h \cdot 1}$および$ n_{h \cdot 2}$である場合、$ S_ h$の上限と下限である$ l_ h$および$ u_ h$は次のようになります。

\begin{eqnarray*}  l_ h & =&  \max ~  ( ~  0,~ ~  n_{h 1 \cdot } - n_{h \cdot 2} ~  ) \\ u_ h & =&  \min ~  ( ~  n_{h 1 \cdot }, ~ ~  n_{h \cdot 1} ~  ) \end{eqnarray*}

$C_{s_ h}$は超幾何係数を表します。

\[  C_{s_ h} = \binom { n_{h \cdot 1} }{ s_ h } \binom { n_{h \cdot 2} }{ n_{h 1 \cdot } - s_ h }  \]

$\phi $は共通オッズ比を表します。$ S_ h$の条件付き分布は次のようになります。

\[  P (~  S_ h = s_ h ~  | ~  n_{1 \cdot }, ~  n_{\cdot 1}, ~  n_{\cdot 2}~  ) = C_{s_ h} ~  \phi ^{~ s_ h} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l_ h}^{x~ =~ u_ h} ~  C_{x} ~  \phi ^{~ x}  \]

すべての$2 \times 2$表の合計は$S = \sum _ h S_ h$であり、Sの上限および下限であるlおよびuは次のようになります。

\[  l = \sum _ h l_ h \hspace{.2in} \mr{and} \hspace{.2in} u = \sum _ h u_ h  \]

合計Sの条件付き分布は次のようになります。

\[  P (~  S = s ~  | ~  n_{h1 \cdot }, ~  n_{h\cdot 1}, ~  n_{h\cdot 2};~ ~  h = 1, \ldots , q ~  ) = C_{s} ~  \phi ^{~ s} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} ~  C_{x} ~  \phi ^{~ x}  \]

ここで、

\[  C_{s} = \sum _{s_1 + .\ldots + s_ q ~  = ~  s} ~  \left( ~  \prod _ h ~  C_{s_ h} ~  \right)  \]

$s_0$は、q表でのセル(1,1)の度数の合計を表します。次の2つの方程式を繰り返し解くことにより、共通オッズ比の上側および下側の信頼限界である$\phi _1$および$\phi _2$を決定できます。

\begin{eqnarray*}  \sum _{x~ =~ s_0}^{x~ =~ u} ~  C_ x ~  \phi _1^{~ x} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} ~  C_ x ~  \phi _1^{~ x} &  = &  \alpha / 2 \\[0.10in] \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ s_0} ~  C_ x ~  \phi _2^{~ x} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} ~  C_ x ~  \phi _2^{~ x} &  = &  \alpha / 2 \end{eqnarray*}

観測された合計$s_0$が下限lに等しい場合、FREQプロシジャは、下側信頼限界をゼロに設定し、水準$\alpha $により上側信頼限界を決定します。同様に、観測された合計$s_0$が上限uに等しい場合、FREQプロシジャは、上側信頼限界を無限大に設定し、水準$\alpha $により下側信頼限界を決定します。

EXACTステートメントでCOMORオプションを指定すると、FREQプロシジャは、共通オッズ比が1に等しいという帰無仮説の下での正確検定も計算します。$\phi = 1$を設定すると、帰無仮説の下での合計Sの条件付き分布は次のようになります。

\[  P_0 (~  S = s ~  | ~  n_{h1 \cdot }, ~  n_{h\cdot 1}, ~  n_{h\cdot 2};~ ~  h = 1, \ldots , q ~  ) = C_{s} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} ~  C_{x}  \]

この正確検定の点確率は、帰無仮説の下での観測された合計$s_0$の確率であり、これは層化された$2 \times 2$表の周辺の条件に基づいて、 $P_0(s_0)$で表されます。帰無仮説の下でのSの期待値は次のようになります。

\[  \mr{E}_0(S) = \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} x ~  C_{x} ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} C_{x}  \]

片側の正確なp値は、条件付き分布から$P_0(S >= s_0)$または$P_0(S \leq s_0)$として計算されます。これは、観測された合計$s_0$$\mr {E}_0(S)$より大きいか小さいかに応じて決定されます。

\begin{eqnarray*}  P_{1} & =&  P_0(~  S >= s_0~  ) = \sum _{x~ =~ s_0}^{x~ =~ u} C_ x ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} C_{x} \hspace{.2in} \mr{if} \hspace{.1in} s_0 > \mr{E}_0(S) \\[0.10in] P_{1} & =&  P_0(~  S <= s_0~  ) = \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ s_0} C_ x ~  / ~  \sum _{x~ =~ l}^{x~ =~ u} C_{x} \hspace{.2in} \mr{if} \hspace{.1in} s_0 \leq \mr{E}_0(S) \end{eqnarray*}

FREQプロシジャは、この検定の両側のp値を、3つの異なる定義に従って計算します。両側のp値は、片側のp値を2倍したものとして計算されます。結果が1を超えた場合は1に設定されます。

\[  P_{2}^{~ a} = 2 \times P_{1}  \]

また、両側のp値は、観測された合計$s_0$の点確率以下であるすべての確率の合計として計算されます。sのすべての取りうる値が合計されます。ここで、$l \leq s \leq u$です。

\[  P_{2}^{~ b} = \sum _{l \leq s \leq u: P_0(s) \leq P_0(s_0)} P_0( s )  \]

また、両側のp値は、片側のp値と分布の反対側の裾(期待値から等距離)にある対応する領域の合計としても計算されます。

\[  P_{2}^{~ c} = P_0~ ( ~  | S - \mr{E}_0(S) | ~  \geq ~  | s_0 - \mr{E}_0(S) | ~  )  \]