FREQプロシジャ

共通リスク差

FREQプロシジャは、多元$2 \times 2$表の共通リスク(比率)差のMantel-Haenszel推定値および要約スコア推定値を計算します。 FREQプロシジャは、共通リスク差の層化Newcombe信頼限界も計算します。

共通リスク差のMantel-Haenszel推定値

FREQプロシジャは、共通リスク差のMantel-Haenszel (Mantel and Haenszel, 1959)推定値を次のように計算します。

\[  \hat{d}_{\mi{MH}} = \left( \sum _ h \hat{d}_ h w_ h \right) ~  / ~  \left( \sum _ h w_ h \right)  \]

ここで、$\hat{d}_ h$は層hのリスク差であり、次の式が成り立ちます。

\[  w_ h = n_{h1\cdot } n_{h2\cdot } / n_ h  \]

hの列1のリスク差は次のように計算されます。

\[  \hat{d}_ h = \hat{p}_{h1} - \hat{p}_{h2} = (n_{h11} / n_{h1 \cdot }) - (n_{h21} / n_{h2 \cdot })  \]

ここで、$\hat{p}_{h1}$は、列1に分類される行1オブザベーションの比率であり、$\hat{p}_{h2}$は、列1に分類される行2オブザベーションの比率です。列2のリスクは同じ方法で計算されます。詳細は、Agresti (2013, p. 231)を参照してください。

FREQプロシジャは、次のように$\hat{d}_{\mi{MH}}$ (Sato, 1989)の分散を計算します。

\[  \hat{\sigma }^2(\hat{d}_{\mi{MH}}) = \left( \hat{d}_{\mi{MH}} \sum _ h P_ h + \sum _ h Q_ h \right) / \left( \sum _ h w_ h \right)^2  \]

ここで、

\[  P_ h = \left( n_{h1\cdot }^2 n_{h21} - n_{h2\cdot }^2 n_{h11} + n_{h1\cdot } n_{h2\cdot } (n_{h2\cdot }-n_{h1\cdot })/2 \right) / n_ h^2  \]
\[  Q_ h = \left( n_{h11} ( n_{h2\cdot } - n_{h21} ) + n_{h21} (n_{h1\cdot } - n_{h11} ) \right) / 2 n_ h  \]

共通リスク差の$100(1-\alpha )$%の信頼限界は、次のように計算されます。

\[  \hat{d}_{\mi{MH}} ~  \pm ~  \left( z_{\alpha /2} \times \hat{\sigma }(\hat{d}_{\mi{MH}}) \right)  \]
共通リスク差の要約スコア推定値

FREQプロシジャは、Agresti (2013, p. 231)の説明にあるように、共通リスク差の要約スコア推定値を計算します。この推定値は、層リスク差のMiettinen-Nurminen (スコア)信頼限界から計算されます。詳細は、"Miettinen-Nurminen (スコア)信頼限界"のセクションを参照してください。 層hのリスク差のスコア信頼区間は$\hat{d}_ h^\prime \pm z_{\alpha /2} s_ h^\prime $で表されます。ここで、$\hat{d}_ h^\prime $はスコア信頼区間の中間点、$s_ h^\prime $は信頼区間の幅を$2z_{\alpha /2}$で割った値です。共通リスク差の要約スコア推定値は、次のように計算されます。

\[  \hat{d}_{\mi{S}} = \sum _ h \hat{d}_ h^\prime w_ h^\prime  \]

ここで、

\[  w_ h^\prime = ( 1 / {s_ h^\prime }^2 ) / \sum _ i (1/{s_ i^\prime }^2)  \]

$\hat{d}_{\mi{S}}$の分散は、次のように計算されます。

\[  \hat{\sigma }^2(\hat{d}_{\mi{S}}) = 1 / \sum _ h ( 1 / {s_ h^\prime }^2 )  \]

共通リスク差の$100(1-\alpha )$%の要約スコア信頼限界は、次のように計算されます。

\[  \hat{d}_{\mi{S}} ~  \pm ~  \left( z_{\alpha /2} \times \hat{\sigma }(\hat{d}_{\mi{S}}) \right)  \]
共通リスク差の層化Newcombe信頼限界

FREQプロシジャは、Yan and Su (2010)の方法を使用して、共通リスク(比率)差の層化Newcombe信頼限界を計算します。層化Newcombe信頼限界は、共通(全体)行比率の層化Wilson信頼限界から構成されます。

FREQプロシジャは、最初に各$2 \times 2$表(層)における行比率の個別Wilson信頼限界を計算します。詳細は、Wilson (スコア)信頼限界のセクションを参照してください。次に、Mantel-Haenszel重みを使用して、これらの層化Wilson信頼限界が結合され、全体行比率の層化Wilson信頼限界が形成されます。ここで、層hのMantel-Haenszel重みは次のように計算されます。

\[  w_ h = n_{h1\cdot } n_{h2\cdot } / n_ h  \]

層化Wilson信頼限界の信頼水準は、(層化Wilson信頼限界の)全体的な信頼係数が$100(1 - \alpha )$% (Yan and Su, 2010)になるように選択されます。

共通行1の比率の下側および上側の層化Wilsonスコア信頼限界をそれぞれ$L_1$$U_1$で表し、共通行2の比率の下側および上側の層化Wilson信頼限界をそれぞれ$L_2$$U_2$で表します。共通リスク(比率)差の$100(1-\alpha )$%の層化Newcombe信頼限界は、次のように計算されます。

\begin{eqnarray*}  L &  = &  \hat{d}_{\mi{MH}} ~  - ~  z_{\alpha /2} \sqrt { \lambda _1 L_1 (1-L_1) + \lambda _2 U_2 (1-U_2) } \\[0.10in] U &  = &  \hat{d}_{\mi{MH}} ~  + ~  z_{\alpha /2} \sqrt { \lambda _2 L_2 (1-L_2) + \lambda _1 U_1 (1-U_1) } \end{eqnarray*}

ここで、$\hat{d}_{\mi{MH}}$は、共通リスク差のMantel-Haenszel推定値です。

\begin{eqnarray*}  \lambda _1 &  = &  \sum _ h w_ h^2 / n_{h1\cdot } \\[0.05in] \lambda _2 &  = &  \sum _ h w_ h^2 / n_{h2\cdot } \end{eqnarray*}

単一層がある場合、層化Newcombe信頼区間は(非層化)Newcombe信頼区間に等しくなります。詳細は、セクションリスク差の信頼限界内のサブセクション"Newcombe信頼限界"を参照してください。Kim and Won (2013)も参照してください。