オッズ比は、各種の試験デザインにおいて連関性の有益な指標となります。ケースコントロールスタディと呼ばれる後向きデザインでは、オッズ比を使用することで肯定応答が小さい場合の相対リスクを推定できます(Agresti 2002)。ケースコントロールスタディでは、2つの独立標本が2値(yes/no式)応答変数に基づいて特定され、2値説明変数の条件付き分布が応答変数の固定レベル内において検査されます。詳細は、Stokes, Davis, and Koch (2000)およびAgresti (2007)を参照してください。
行1の肯定応答(列1)のオッズ比はになります。同様に、行2の肯定応答のオッズ比はになりまます。オッズ比は、行1のオッズの行2のオッズに対する比として形成されます。表に対するオッズ比は次のように定義されます。
オッズ比は任意の非負数になります。行変数と列変数が独立である場合、オッズ比の真の値は1になります。オッズ比が1より大きい場合、行1の肯定応答のオッズが行2よりも高いことを意味します。オッズ比が1より小さい場合、行2の肯定応答のオッズが行1よりも高いことを意味します。連関性の強度は、1からの偏差で増加します。
変換はオッズ比を範囲へと変換します。ここで、の場合となり、の場合となります。また、が無限大に近づとは1に近づきます。はガンマ統計量であり、これはMEASURESオプションを指定した場合にFREQプロシジャにより計算されます。
オッズ比の%の漸近信頼限界は次のようになります。
ここで、
およびは標準正規分布の番目のパーセント点です。4つのセル度数のいずれかがゼロである場合、推定値は計算されません。
EXACTステートメントでORオプションを指定すると、FREQプロシジャはオッズ比に関する正確な信頼限界を計算します。これは離散的な問題であるため、正確な信頼区間の信頼係数は厳密には()ではなく、最小で()になります。このため、これらの信頼限界は保守的となります。詳細は、Agresti (1992)を参照してください。
FREQプロシジャは、Thomas (1971)に基づくアルゴリズムを使用してオッズ比に関する正確な信頼限界を計算します。Gart (1971)も参照してください。次の2つの問題を繰り返し解くことにより、上側および下側の信頼限界であるおよびを決定できます。
オッズ比がゼロである場合(これはまたはの場合に起こる)、FREQプロシジャは、下側の正確な信頼限界をゼロに設定し、水準を使用して上側限界を決定します。同様に、オッズ比が無限大である場合(これはまたはの場合に起こる)、FREQプロシジャは、上側の正確な信頼限界を無限大に設定し、水準を使用して下側限界を決定します。
この相対リスクに関する指標は、説明変数の有無に基づいて2つの標本を特定するようなcohort (予測)試験デザインで役立ちます。この研究では、2つの標本が2値(yes/no)の応答変数に対してこれから観測されます。相対リスク指標は、2変数を同時に観測するクロスセクション試験でも役立ちます。詳細は、Stokes, Davis, and Koch (2000)およびAgresti (2007)を参照してください。
列1の相対リスクは、行1の列1リスクの、行2の列1リスクに対する比率になります。行1の列1リスクは、列1に分類されている行1オブザベーションの比率であり、次のように表されます。
同様に、行2の列1リスクは次のように表されます。
列1の相対リスクは次のように計算されます。
相対リスクが1より大きい場合、行1の肯定応答の確率が行2よりも大きいことを意味します。同様に、相対リスクが1より小さい場合、行1の肯定応答の確率が行2よりも小さいことを意味します。連関性の強度は、1からの偏差で増加します。
列1の相対リスクに関する%の漸近信頼限界は、次のように計算されます。
ここで、
およびは標準正規分布の番目のパーセント点です。またはがゼロである場合、推定値は計算されません。
FREQプロシジャは、列2の相対リスクを同じ方法で計算します。
EXACTステートメントでRELRISKプションを指定すると、FREQプロシジャは、相対リスクに関する正確な条件なしの信頼限界を計算します。FREQプロシジャは、2つの独立した片側検定(裾を用いる手法)を反転させることにより、信頼限界を計算します。ここで、各検定のサイズは最大でであり、信頼係数は最低でもになります。正確な条件付き方式(セクション正確な統計量を参照)は、撹乱パラメータが存在するため、相対リスクには適用できません(Agresti 1992)。条件なしのアプローチでは、すべての可能な値に関してp値を最大化することで、撹乱パラメータを廃止しています(Santner and Snell 1980)。
デフォルトでは、FREQプロシジャは、信頼限界の計算における検定統計量として、標準化されていない相対リスクを使用します。RELRISK(METHOD=FMSCORE)オプションを指定すると、同プロシジャは相対リスクに関するFarrington-Manningスコア統計量を使用します(Chan and Zhang 1999)。スコア統計量は生の相対リスクよりも離散的でない統計量であるため、より保守的でない信頼限界を生成します(Agresti and Min 2001)。信頼限界の計算方法の比較については、Santner et al(2007)を参照してください。
FREQプロシジャが使用する相対リスクに関する信頼限界の計算方法については、リスクの差の正確な条件なしの信頼限界のセクションを参照してください。相対リスクの計算に使用される検定統計量は、標準化されていない相対リスク(デフォルト)か、または相対リスクのスコア統計量(RELRISK(METHOD=FMSCORE)オプションを指定した場合)のいずれかになります。FREQプロシジャは、次のような標準化されていない相対リスクの形式を使用します。これは、各度数に対して0.05を加算し、ゼロの表セルが存在する場合でも同統計量が定義されることを保証します(Gart and Nam 1988)。
RELRISK(METHOD=FMSCORE)オプションを指定すると、同プロシジャは相対リスクに関するスコア統計量を使用します(Farrington and Manning 1990; Miettinen and Nurminen 1985)。この検定統計量は次のように計算されます。
ここで、
ここで、およびは、相対リスクがに等しいという帰無仮説の下でのおよびの最尤推定値です。Farrington and Manning (1990)によれは、最尤解は次のようになります。
ここで、