一致研究 |
医療研究者は、新しい処置が皮膚の状態に与える効果を評価することに興味を持っています。次の例では、複数の病院に勤務する皮膚科医が、このような研究を主導し皮膚の状態を評価できるようにトレーニングを受けたものとします。このトレーニングの後、ある2人の皮膚科医が、予備実験により患者の皮膚の状態を調べ、それらの患者の評価を行ったとします。与えることができる評価の値としては、Terrible、Poor、Marginal、Clearの4つがあるものとします。表3.2に、この皮膚状態のデータを示します。
Dermatologist 2 |
||||
---|---|---|---|---|
Dermatologist 1 |
Terrible |
Poor |
Marginal |
Clear |
Terrible |
10 |
4 |
1 |
0 |
Poor |
5 |
10 |
12 |
2 |
Marginal |
2 |
4 |
12 |
5 |
Clear |
0 |
2 |
6 |
13 |
SASデータセットSkinConditionを作成するDATAステップステートメントは次のようになります。皮膚科医1および皮膚科医2による患者の評価は、それぞれ変数Derm1およびDerm2に含められます。また、変数Countの値は、特定のレーティングのペアを与えられた患者数になります。
data SkinCondition; input Derm1 $ Derm2 $ Count; datalines; terrible terrible 10 terrible poor 4 terrible marginal 1 terrible clear 0 poor terrible 5 poor poor 10 poor marginal 12 poor clear 2 marginal terrible 2 marginal poor 4 marginal marginal 12 marginal clear 5 clear terrible 0 clear poor 2 clear marginal 6 clear clear 13 ;
皮膚状態のデータの一致分析を要求するには、次のようなPROC FREQステートメントを使用します。診断の一致(および実験における測定誤差への寄与の可能性)を評価するには、カッパ係数を計算します。
TABLESステートメントは、変数Derm1およびDerm2からなるクロス集計表を要求します。TABLESステートメントのAGREEオプションは、カッパ係数と、その標準誤差および信頼限界を要求します。TESTステートメントのKAPPAオプションは、カッパ係数がゼロである(すなわち一致は純粋に偶然的なものである)という帰無仮説の下での検定を要求します。TABLESステートメントのNOPRINTオプションは、2元表が表示されないようにします。PLOTS=オプションは、2人の皮膚科医の一致プロットを要求します。プロットを作成する前に、ODS Graphicsを有効にする必要があります。
ods graphics on; proc freq data=SkinCondition order=data; tables Derm1*Derm2 / agree noprint plots=agreeplot; test kappa; weight Count; run; ods graphics off;
図3.10と図3.11に結果を示します。カッパ係数の値は0.3449であり、これは2人の皮膚科医間でのある程度の一致が存在することを意味します。また、仮説の検定結により、一致が存在しないという帰無仮説を拒否できることが確認されます。この結論は、信頼区間(0.2030, 0.4868)によっても支持されます。これは、真のカッパ係数がゼロより大きいことを示唆しています。また、AGREEオプションを指定しているため、ここには表示されていませんが、Bowkerの対称性検定や重み付きカッパ係数も計算されます。図3.11に、2人の皮膚科医の評価に関する一致プロットを示します。
Simple Kappa Coefficient | |
---|---|
Kappa | 0.3449 |
ASE | 0.0724 |
95% Lower Conf Limit | 0.2030 |
95% Upper Conf Limit | 0.4868 |
Test of H0: Kappa = 0 | |
---|---|
ASE under H0 | 0.0612 |
Z | 5.6366 |
One-sided Pr > Z | <.0001 |
Two-sided Pr > |Z| | <.0001 |