GLMプロシジャとMIXEDプロシジャの違いについて
[OS] ALL
[リリース] ALL
[キーワード] MIXED, GLM
[質問]MIXEDプロシジャを使用して、GLMプロシジャと同じ結果を求められるでしょうか。
[回答]MIXEDプロシジャとGLMプロシジャは、同じ手法を用いてモデルを推定していません。ランダム効果(変量効果)に対する推定において、GLMプロシジャはモーメント法(method of moments)を用いていますが、MIXEDプロシジャでは最尤法(maximum likelihood)または残差最尤法(restricted/residual maximum likelihood)による推定となります。この推定手法の違いにより、多くのケースで異なる結果が得られます。また、GLMプロシジャとMIXEDプロシジャでは、モデルにおけるランダム効果の設定にも違いがあります。MIXEDプロシジャでは、ランダム効果を「ランダムなもの」として扱いますが、GLMプロシジャではモデルにおける全ての効果を固定効果として定義し、推定を行なった後にランダム効果に対して調整を行ないます。 一般的に、固定効果のみのモデルの場合には、MIXEDプロシジャとGLMプロシジャの結果は一致します。モデルにRANDOMステートメント、REPEATEDステートメントが含まれていない場合には、"Type III F Tests" とパラメータ推定値が両プロシジャで同じになるでしょう。 モデルにRANDOMステートメントが含まれている場合、特にデータがアンバランスである場合には、2つのプロシジャにおける結果に差異が生じることがあります。MIXEDプロシジャは、デフォルトでは全てのランダム効果の推定値に対する下限を0に設定します。この下限は、PARMSステートメントにてNOBOUNDオプションを指定して外すことが可能であり、GLMプロシジャと同じ結果が得られるかもしれません。また、GLMプロシジャでは固定効果に対する Type I test, Type III test は残差項(residual error)に対して行なうことがデフォルトであることにご留意ください。MIXEDプロシジャでは、指定しているモデルに沿った適切な誤差項(error term)に対して固定効果の Type III test が行なわれます。このため、MIXEDプロシジャで行なわれた検定の結果を再現するには、GLMプロシジャでRANDOMステートメントにてTESTオプションを指定、またはTESTステートメントを用いる必要がある場合があります。 また、アンバランスなデータの場合、GLMプロシジャではデフォルトでSatterthwaiteの近似を用いているため、MIXEDプロシジャのMODELステートメントでもDDFM=SATTERTHWAITEオプションを指定することが必要となるかもしれません。 REPEATEDステートメントを用いたGLMプロシジャでは、MIXEDプロシジャと入力データセットの扱いが異なります。GLMプロシジャでは各被験者(subject)に対して、完全なデータが必要となります。ある被験者において、1時点でも欠損値がある場合には、その被験者はGLMプロシジャの分析からは外されますが、MIXEDプロシジャでは、欠損値がある被験者も含めて分析を行ないます。このことは、検定における自由度から判断することができます。GLMプロシジャとMIXEDプロシジャにおける自由度がかなり異なる場合には、複数の被験者において欠損値が含まれていることが大いに考えられます。MIXEDプロシジャにおける結果は、(単変量の分析である)分割実験(split-plot approach)を用いた反復測定の分析に変更することによって、GLMプロシジャにて得ることができる場合もあります。詳細に関しては、SAS/STAT User's Guide における以下の箇所をご参照ください。
GLMプロシジャでは、どの群間/郡内の交互作用項をモデルに含めるかの仮定(assumptions)が行なわれます。そのため2つのプロシジャにおける結果を同じとするためには、MIXEDプロシジャのMODELステートメントで明示的にこれらの交互作用項を指定する必要がでてきます。 反復測定の分析におけるGLMプロシジャとMIXEDプロシジャの比較に関しては、以下のFAQにおける文献も併せてご参照ください。 上記の内容は、米国SAS Institute社のWebページに記載されているFAQをもとに作成しています。 |