銀行経営者の76%、銀行には社会的利益を追求する「義務」があると回答
SASとEconomist Impactが銀行経営層を対象に実施したグローバル調査で、銀行業界は2035年までにデジタル化を終え、目的志向のバンキングビジネスへと向かうと予測
アナリティクスのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下 SAS)は、米シンクタンクのEconomist Impactに協賛し、銀行経営層を対象とした「銀行の未来に関するグローバル調査(英文)」を実施しました。市場ダイナミクスの変化、地政学的緊張の高まり、サイバー脅威の急増、気候危機の悪化など、世界は多くの面でリスクと不確実性に直面しています。これらのトレンドは、金融サービスをどのように変化させているのでしょうか。本調査からは、移行期にある銀行業界と、より実直に目的志向の軌道を描こうとする経営者たちの姿勢がうかがえます。
Banking in 2035: global banking survey report(2035年の銀行業:グローバル銀行調査レポート)は、世界中の法人、商業、リテール、デジタル銀行のディレクター以上の意思決定者約500人のインサイトを調査し、まとめたものです。レポートの補足資料として、調査データに地域別フィルタリングなどを加えたオンラインダッシュボード(英文)をSASサイト上で提供しています。
より良い銀行を目指して
このレポートで注目すべきは、社会責任への意識をより強めたビジネス手法に対する圧倒的な支持が明らかになったことです。調査には、社会的利益の促進において金融サービス業界が果たすべき役割についての質問があり、その結果は次のようなものでした。
- 経営者の76%が、銀行には社会のニーズや問題に対応すべき「強い義務がある」と答え、32%は、銀行が「中心的役割」を果たすべきであると回答しています。
- 79%は、銀行は社会的課題への対応に「より深く関わるべきである」と回答しています。
- 82%が、金融サービス機関は利益を追求する一方で、同時に社会をより良くすることができると回答しています。この傾向は、より上位の経営層の間ではさらに強く(91%)なっています。
金融業に詳しい著名なコメンテーターであり、作家、Unconventional Venturesの創設者でもあるテオ・ラウ(Theo Lau)氏は、次のように述べています。「金融サービス業界からは、目的志向のバンキングビジネスが未来を拓くだろうという声が強く聞こえてきます。社会と環境のための投資、予防的コンプライアンスをさらに進めた予見型の透明性維持活動、銀行の完全デジタル化、銀行利用の少ない、または利用の無い個人層へのアプローチ強化等、すでに絵空事ではありません。銀行がそのミッションとビジネスモデルを進化させ、ステークホルダーに新たな価値を提供し、人々と地球のより良い未来に向けて前進しようとするなら、これらについて真剣に議論しなければなりません。」
リスクと同時に好機が
この調査からは、銀行の経営陣が破壊的変化の兆し、内的・外的な障壁、社会問題、環境問題の深刻化を真摯に捉えている一方で、慎重ながら楽観的視点を失っていないこともわかりました。
- 急速に進むデジタル革命:「金融サービスのデジタル化と先進テクノロジーの採用」は、業界で最も影響力のあるトレンドの最上位です(55%)。デジタル通貨の登場がそれに続きます(49%)。また、これらを指摘した回答者の54%は、それぞれが業界最大の好機でもあると答えています。
- 高まるサイバーリスク:サイバー攻撃の脅威の増大は、トレンドの中で最も多く挙げられた(53%)リスクです。銀行は、どのように対応しているのでしょうか。回答者の49%は、トレンドに先行するための最重要戦略としてセキュリティとデータ保護への投資を挙げています。44%は、不正検知、デジタル決済、マネーロンダリング対策に取り組む部門間でのデータ共有の強化を挙げています。
- 環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題:回答者の64%は、ESG目標の推進において銀行が他の業界に遅れをとっていると答えていますが、銀行のESGの課題が重要になりつつあることは明らかです。実際、回答者の41%が、ESGを最大のビジネス機会として挙げています。また、52%が社会的ニーズに対応する上で銀行が最も力を入れているべき課題として、環境の持続可能性と気候変動を挙げています。
アナリティクスが切り拓く道
今回発表されたレポートは、2回に分けて行われた調査の後半の結果をまとめたものです。本調査結果は、前回のBanking in 2035: three possible futures(2035年の銀行業:考えられる3つの将来像)レポートの内容を裏付けるものとなりました。前回調査は、銀行業が将来行き着く可能性のある姿を3つ取り上げ、主要なトレンドとそれらに対する銀行の対応によって、状況がどのように変化し得るかをまとめています。
経営層からの回答によれば、彼らはテクノロジーが自社と業界全体の双方にとって重要であることを理解しており、それが何であれ、回復力を高め、明るい未来を切り開くために必要であることを認識しています。回答者の48%は、高度なアナリティクスを重要なテクノロジーとして挙げ、長期的なトレンドが銀行の形を変えていくなかで、競争力を維持するために必要なものとしています。デジタルトランスフォーメーションに対しても、自社での試みが予定通り進行している(35%)または先行している(42%)と回答しており、順調に進んでいるとの評価は77%に達しています。
実際、今後3~5年の間に経営陣が重点を置く戦略的優先事項のトップはデジタルトランスフォーメーションであると57%の経営層が回答、次いでセキュリティとデータ保護が55%となっています。それらに続いて、カスタマー・エクスペリエンスとリスク管理が、それぞれ39%となっています。
SASのグローバル金融サービス担当ディレクターであるアレックス・クフャトコフスキ(Alex Kwiatkowski)は、次のように述べています。「今想像されている2035年の銀行業の大きな可能性は、クラウド上のアナリティクスとAIによって実現されるでしょう。銀行の経営者たちは、銀行組織の機能がステークホルダーや社会全体に共有しやすいインサイトに従わなければ、大きな変化を乗り切れないことを知っています。最適なパフォーマンスを実現するには、データに基づいた最適な意思決定を行う必要があるのです。」
優れたインサイトがより良い銀行の未来につながる理由について、詳しくは、Banking in 2035(2035年の銀行業)レポートをダウンロードするか、 SAS.com/betterbanking(英文)の関連資料をご覧ください。
Economist Impactについて
Economist Impactは、シンクタンクとしての厳格な視点とメディアブランドとしての創造力の両面から、世界を動かそうとする人々の力となります。私たちと共に、エビデンスに基づくインサイトで議論を深め、視野を広げ、未来に向かって進みましょう。詳しくは、impact.economist.comをご覧ください。
*2022年11月10日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリースの抄訳です。
本原稿はSAS本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。
SAS について
SASはデータとAIのリーディング・カンパニーです。SASの革新的なソフトウェアと業界特化型のソリューションが、世界中のお客様にデータを信頼できる意思決定に変換するパワーを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。
*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
- SAS Institute Japan株式会社
広報担当: 森屋
TEL: 03-6434-3700
E-mail: jpnpress@sas.com
2035年の銀行業務:グローバル・バンキング調査報告書」は、SASがスポンサーを務めるEconomist Impactによる2部構成の調査の第2部です。