現代の「消費者像」にみる7つの特徴
eBay、Chico’s、ブルックスブラザーズのビジネスリーダーが語る今日の購買者
SASインサイトエディター アリソン・ボレン
今日の消費者購買行動は、かつてないほどネットに依存したものとなっている。この、ポケットサイズのデバイスひとつで、価格も商品レビューもチェックでき、自身のレビューや感想を共有し、クーポンもダウンロードしてしまう。時には、店舗にいながら、競合企業のオンラインストアで購入してしまうことも。
このモバイル・コネクティビティによって、消費者が多様な購入手段を得たわけだが、同時に、小売側にも新たな機会が生まれている。それは、小売企業が顧客と目的を持ったコミュニケーションをとり、それを通じて、さらに顧客コミュニケーションのパーソナル化を図るというものだ。
先進的な小売企業は、眼前にあるこのチャレンジと機会について既に考え始めている。今日は、実際に彼らが考えていることの一端を伺ってみた。
ニューヨークで開催されたRetail’s Big Showで、我々は小売業界から3人のテクノロジストを招き、今日の消費者についてその実像と各社の対応を語って頂いた。
彼らが挙げる「現代の消費者像」にみる7つの特徴とは:
ショッピングの場所がどこであろうと、お客様であることに変わりはありません。私たちは、チャネル間の障壁を取り払って、一貫したやり方でお客様に対応し、店舗でもオンラインサイトでも同じようにお客様にエンゲージしなければならないのです。
ブルックスブラザーズ上級副社長 兼 CIOシャハル・ラーハ氏
- 昼夜を問わない購買行動 「今日の消費者にとって、ショッピングは24時間365日いつでも可能なのだ、という期待感があります」と、Chico’sのCIO エリック・シングルトン氏は言う。「時間を問わず購入が可能ということは、小売業者は、異なる消費者からの微妙に異なる要望に一日中対応せねばならないということです」。シングルトン氏によれば、モノのインターネット(IoT)が、今後数年間でこの問題をさらに悪化させるという。「私たちに課せられたチャレンジは、考えられるすべてのプラットフォーム上でその微妙に異なる期待それぞれに対処していくことです」
- 主導権は消費者に 「今日の消費者は、彼ら自身の購買体験をより一層主導しています。自分たちが望む購買体験を要求できると分かっているのです」とeBay グローバルデータインフラストラクチャ ディレクターのガヤトリ・パテル氏は語る。「彼らは購入のたびに、探索し、比較し、共有する手段を持っています。しかも非常に迅速にそれを行えます。彼らに対応できなければ、それはそのときだけの機会喪失に留まらず、長期的なインパクトになりえるのです。彼らのニーズを誘導するのでなく、むしろ即座に対応する必要があります。このバランスをとることが、最大のチャレンジです」
- オムニチャネル ショッピング 「いま見えている最大のトレンドは、チャネル間での線引きが曖昧になってきていることです」と、ブルックスブラザーズ 上級副社長兼CIO シャハル・ラーハ氏は述べる。「私たちは、チャネル間の障壁を取り払って、一貫したやり方でお客様に対応し、店舗でもオンラインサイトでも同じようにお客様にエンゲージしなければならないのです」
- コンテンツの消費者 「今日の消費者は、一瞬でわが社の商品を探索してしまうことができます」とシングルトン氏は言う。「そして、彼らの心にある購入動機と、いままさに買おうとしている商品との間には、非常に緊密な関係があります。つまり、どのようなコンテンツを用意するかが、彼らの行動に多大な影響を及ぼすのです。ですので、Chico’s は常に顧客の意思決定を補完するために、さまざまな方法でコンテンツに目を光らせています。特にソーシャルチャネル上のものには注意を払っています」
- グローバルなエクスペリエンス 「まさにグローバルエコノミーです」とラーハ氏は言う。「お客様がどこにおられようと、私たちはそのニーズを理解しなくてはなりません。ここニューヨークの店舗であろうと、東京の店舗であろうと、可能な限りお客様との対話を有意義なものにするため、さまざまなツールで、我われスタッフを武装する必要があります」
- コラボレーション 「オフラインに比べて、オンライン上には、お客様の意思決定に影響を与えるような、非常に多くの情報共有やコラボレーションがあります。eBay では、リテールパートナーシップを通じてそれら体験を補完しています」パテル氏は言う。シングルトン氏も「新製品をチェックしたり共有したり、いま持っている服にぴったり合うものを探したり、Web上で見たものを改めて確認したり。スマートデバイスはまさにそんな目的で使われています」と同意する。
- SNSで共有 「小売におけるソーシャルメディアの活用は始まったばかりですが、急速に拡大しています」と、ラーハ氏は言う。「それは、単なる購入商品レビューに留まりません。私たちは外部パートナーの協力の下、商品を在庫する前の段階でソーシャルメディアからのフィードバックを得て、それを活用しています。たとえば、時間やお金をかけて別の色の商品を作ったり、実際に製造や出荷のコストが発生したりする前に、商品のアイディアや色についてオンライングループからフィードバックを受けるといったことです。このようなフィードバックのメカニズムは、従来はないものでした」
いかがだろうか。これらの特徴は、あなた自身やあなたの顧客に当てはまるだろうか。このような消費者のニーズを満たすために、各社がどのようにデータや分析を活用しているか、そのヒントやアイディアを今後伺っていく予定だ。お楽しみに。