2. 分析結果を業務に活かす − ルールの裏にある顧客の意思を把握する
アソシエーション分析には信頼度、支持度、リフト値の3つの指標があります。分析結果を業務に活かすには、この3つ指標の組み合わせにより、それぞれのルールを正しく解釈することが重要になります。
そこで、リフト値がある程度高いこと、つまり併買が顧客の何らかの意図によるものであり、偶然ではないことを前提に、分析結果を図4のように4つのグループに分けてみましょう。
4つのグループとは、信頼度の高低、支持度の高低で分けたものです。どちらも低いグループ(パターン1)は併買する顧客が少数であり、相関もインパクトも低いため、マーケティング的には非常にニッチな領域といえます。ただし、リフト値から何らかの意味があると思えるのであれば、商品をセットにして目に付くところに陳列することで、潜在需要を喚起できる可能性もあります。
逆に、どちらも高いグループ(パターン4)は、すでに飽和状態、つまり「パンと牛乳」のように買い尽くされている同時購入の組み合わせであるといえます。こうした組み合わせは、セット販売や近くに陳列するといったことでは、もはや大きく売上を伸ばすことはできません。ただし、価格や利便性に訴え顧客満足度を高めることができます。また、ジャムやバターを近くに陳列することでクロスセルの促進を模索していくことも可能です。
信頼度が高く支持度が低いグループ(パターン2)には、「大型液晶テレビと高性能ブルーレイレコーダ」のように、販売量は少ないが同時に購入される可能性が高いものが多く、相関関係も非常に強いものです。マーケティング戦略としては効果を上げる可能性も高いといえるでしょう。
信頼度が低く支持度が高いグループ(パターン3)には、「焼き鳥とカーシャンプー」のように、購入頻度はそれぞれ高いが、同時購入される割合はまだそれほどでもない組み合わせが考えられます。マーケティング戦略では近くに陳列するなどして併買を促進することになります。それぞれの商品に販売力があるので、併買率が高まれば単価は安くても売上に対するインパクトが大きい組み合わせといえます。
このように、アソシエーション・ルールは単なる集計値なので、パンと牛乳のように当たり前のルールも導かれてきます。結果だけでは利益が生まれないため、無数に算出されるアソシエーション・ルールの中からマーケティング上意味のあるルールを識別し、優先順位を付けるノウハウが非常に重要になります。分析結果を業務に活かすには、信頼度、支持度、リフト値の3つの指標を正しく理解し、数値からマーケティング戦略のアイデアを導く感覚を鍛える必要があるのです。