宣伝文句に惑わされないために
~ソーシャルメディアを有効に活用する10の方法~
執筆:マーク・チェイブス
SAS global Customer Intelligence practice
Senior Product Manager
最初に、誰もが否定できない事実を明示しておきましょう。 ソーシャルメディアは、ひとつのチャネルであって、万能のチャネルではありません。
1990 年代にオンライン・マーケティングが登場した際、新しいデータ、新しい説明責任、新しい計測方法がもたらされたことを思い出してください。 ソーシャルメディアも、それと同様のチャンスをもたらすでしょう。 ただし、データの出所がどこであるかに関係なく、最終的に重要なのは、消費者が自社のブランドにどのように反応し、自社のビジネスにどのように影響を与えているかを理解することです。
完璧は目指さずに、まずは第一歩を踏み出し、顧客との交流を始めてみましょう。
とはいえ、ソーシャルメディアが他と違うことも否定できません。ソーシャルチャネルを使う場合、消費者は即座にフィードバックを提供できますし、企業は顧客、支持者、誹謗中傷する人、インフルエンサーと直接かかわり合うことになります。ファンページを通じて企業と「友だちになる」、CEOや社員の発言を YouTubeで視聴する、そうした発言をTwitterでフォローする、個人ごとに最適化されたショッピング提案を携帯メールで受け取る――。こうした新たな形態の活動はどれも個人的かつ人間的であり、ブランドに大きな影響を及ぼすものであるため、適切に対応していく必要があります。
では、どのような点に注意して開始すればよいのでしょうか?ここでは、ソーシャルメディアを有効に活用するための実用的なヒントのトップ10をご紹介します。
- 適切な人材を特定、採用、配置する
- 適切な目標を設定して全員に周知徹底する
- ソーシャルメディア用の脚本(プレーブック)を作成する
- 聞き上手になる
- 支持者と要注意人物を知る
- 競合情報の収集にソーシャルデータを活用する
- ソーシャルチャネルの進捗状況を計測する
- 各ソーシャルチャネルの独自の特徴を重視する
- ソーシャルデータから確実に成果を上げる
- 様子見ではなく、今すぐ始める
ソーシャルメディアを有効に活用するための10のヒント
1.適切な人材を特定、採用、配置する
自社のブランドと顧客に対して信念、知識、理解がある従業員を確保する必要があります。例えば銀行の場合、融資担当者が、新居を手に入れる喜びや新車の香りの魅力を理解できないようなら、顧客対応に不都合が生じるでしょう。 製品、ブランド、顧客を的確に理解し、優れた対人スキルをもつ、経験豊富なコミュニケーションのプロを集めたチームが必要です。
例えば、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)やコムキャスト(Comcast)では、ソーシャルメディア対応におけるこの点の重要性を認識し、「スーパー・エージェント」チームを編成して Twitter での顧客対応に当たらせています。
2.適切な目標を設定して全員に周知徹底する
やっておいた方がよさそうだから、という程度の理由でソーシャルメディアを始めてはなりません。 (幹部や責任者としての)あなた自身も現場のチームも、「このソーシャル戦術または活動の目的は何か?」を明確にする必要があります。 ブランド・メッセージを伝えるためでしょうか?顧客対応でしょうか?プロモーションの伝達でしょうか?フィードバックや知見・洞察の収集でしょうか? どのような目的でも、それを把握して文書化することが重要です。 結局のところ、何を達成できたかを問われることになるのですから。
3.ソーシャルメディア用の脚本(プレーブック)を作成する
従業員は企業の最大の資産です。大半の従業員はソーシャルメディアを使った経験があるでしょう。 会社のポリシーに沿ってブランドをオンラインでプロモーションするために、その経験を活かしてもらうには、どうすればよいのでしょうか? まずは対応上のヒント、テクニック、限度を明示した脚本を用意することから始めましょう。
4.聞き上手になる
雑音に惑わされず、相手の主張を的確に聞き取ることが大切です。 現在では、言語学を応用して話題の傾向を分析し、行動に結びつけられるように分類してくれるソフトウェアも利用できます。 ブランドに関して語られている内容、会話の場所、チャネル別の見方・考え方の相違、ブランドに関するコンテンツを誰が作成しているのか、要注意人物と支持者は誰かなどの情報を把握することが重要です。
5.支持者と要注意人物を知る
さまざまな種類の発言者がいます。 対応する相手について、どのような人物なのか、どこから接触してくるのか、誰に話しかけようとしているのか、その意見に誰が注目しているのかを知る必要があります。 こうした情報はソーシャルメディア分析によって手に入れることができます。
6.競合情報の収集にソーシャルデータを活用する
オンライン上で人々は、競合他社についても語り合っています。その会話に耳を澄ますことは何の問題もありませんから、そこから得られた情報を競争に積極的に活用しない手はありません。
7.ソーシャルチャネルの進捗状況を計測する
Facebookのファンページ、Twitterのアカウント、YouTubeのチャネル、Flickrのページなど、ブランドを冠して提供するソーシャルチャネルはすべて、会社のWebサイトと同等の注意を払って監視・計測する必要があります。 幸い、こうしたスポンサード・サイトから得られるデータを管理する手段には、さまざまなものがあります。
8.各ソーシャルチャネルの独自の特徴を重視する
Twitterは Facebookとは違います。Facebookは Flickrとは違いますし、どのチャネルにも、消費者に接触する機会として異なる特徴があります。重要なのは、各ソーシャルチャネル独自の特徴に沿った形で活動することです。Twitterは人々をWebサイトに誘導する効果があります。この点を認識し、自社の利益となるように活用するのです。 Facebookは、それよりはカクテルパーティーに近い感じです。誰もが気軽に参加し、子どもの写真を見せ合ったりしています。データマイニングには、うってつけの場所といえます。データマイニング機能と交流のチャンスを大いに活用しましょう。
9.ソーシャルデータから確実に成果を上げる
SAS では 1 日1 回のペースで、できるだけ多くのデータを捕捉しています。 このレベルの詳細度でも、ビジネスの最新状況とソーシャルメディアの影響について有益な情報が十分に得られます。 これを積み重ねることで、「ソーシャルメディアが利益に貢献するのか?」という疑問に答えられるようになります。
10.様子見ではなく、今すぐ始める
まずは第一歩を踏み出しましょう。最初は小規模に始め、失敗も想定しておきます。失敗はつきものです。そして、やる以上は、隠してはなりません。透明性が重要です。完璧でないことは覚悟した上で、第一歩を踏み出し、顧客との交流を始めてみましょう。 顧客が情報交換している場所を見つけ、どのような人々なのかを理解し、それに応じて戦略を調整していけばよいのです。