マーケターのためのデータ分析実践入門
活用ケース解説
顧客理解を促進させる
顧客セグメンテーション分析(3)
2. セグメンテーションをマーケティングに活用する
顧客セグメントはマーケティングの戦略立案やキャンペーン対象顧客の選定などに活用することができます。通信販売会社F社でのケースをもとに見て行きましょう。
1) 分類して戦略を立てる:セグメントごとの特性や収益性を理解し戦略に活かす
セグメンテーションを行うことでセグメントごとの特性や収益性が明らかになり、戦略に活用することが可能になります。F社では従来、購入合計額などから「優良」「準優良」「一般」「新規」「休眠」といった簡単なセグメンテーションを行っていましたが、実際には十分な活用できておらず一様な攻め方しか出来ていませんでした。そこでセグメントごとにどのような特性や習慣を持っているのかを分析した結果、優良顧客はある決まった商品を定期的に購入する購買習慣を持っていることが判明しました。さらに購買履歴や趣味・嗜好属性などで「優良」セグメントをリピート購入商品のカテゴリごとに「ファッション・美容」「ファミリー」「アウトドア」などのセグメントに細分化しました。これによりセグメントに共通する「リピートの鍵となる商品」や購買習慣を特定でき、優良顧客の維持や準優良顧客育成のためのより具体的で顧客ニーズに対応した戦略を立案することが可能となったのです。F社では準優良/一般顧客を優良顧客化するためにリピートのカギの一つである商品Aのキャンペーンを実施することにしました。
2) 対象顧客を特定する:アプローチが有効/必要な顧客を特定しターゲティングする
準優良/一般顧客を優良顧客化するために商品Aのダイレクトメールを発送する際、ROIを高めるためにはより購入確率が高い人だけを抽出することが重要です。
ディシジョン・ツリー分析を活用した結果、商品Aを購入する確率が高いセグメント条件として、「関心事:グルメ、海外旅行」「購入金額合計:1万円以上」「女性」であることが判明しました。そこで、最新の会員DBの「準優良」「一般顧客」で上記の条件に該当する会員だけを抽出し、ダイレクトメールを送付することにしました。この結果、利益の改善と販促コストの削減を実現できたのです。
またセグメントを活用することで、より顧客のニーズや嗜好にあった効果の高いレコメンデーションなどを実施することも可能になります。
3) 顧客の変化を知る:セグメントの移動から顧客の変化を捉える
顧客セグメントの変遷から顧客の変化を捉える事も出来ます。
「優良」セグメントの顧客が「一般」セグメントに移行した場合、休眠顧客化や離反などのリスクを想定することができます。F社ではこうした望ましくないセグメント移動をした顧客だけを抽出し、休眠防止のための特別なキャンペーンを実施し効果を上げています。
顧客セグメンテーションを実施することで顧客を細分化して捉えることが可能となり対象とすべき顧客の見極めや戦略立案を容易になります。また限られたマーケティング予算を最適配分し、全体の効果・効率(ROI)を最大化するという点においても欠かすことのできないものと言えるでしょう。