SAS Customer Intelligence
ROIという切り口でマーケティングを最適化する
組織がさまざまな取り組みによって蓄積した膨大な情報を分析し、マーケティングを最適化すると言えば、キャンペーンコストの削減やターゲティングの精度向上が真っ先に思い浮かぶかもしれません。それらも大切な業務改革ですが、その先にある本来の目的を見失ってはいないでしょうか。SASは、「利益を最大化する」という切り口でマーケティングに革命を起こすソリューションを、SAS Customer Intelligenceによって提供しています。
進む顧客へのパワーシフト
米国で実施されたある調査結果が、注目を集めています。多くの組織のマーケティング担当者にショックを与えたといっても過言ではありません。広告、ダイレクトメール、電子メールといったさまざまな手段で展開するプロモーション活動について、顧客や潜在顧客が「自分のニーズに合っている」と感じる割合が全体のわずか10%程度にすぎないことが数字として明らかになったのです。*1
かつて、マーケティングの主導権は商品やサービスを提供する側が握っていました。自分たちの優位性を顧客に訴えれば、一定の効果を得られたわけです。ところが、プロモーションを展開するチャネルが多様化し、さばき切れないほどのメッセージが届けられる現在、顧客は自分自身がコンタクトの決定権を握りたいと考えるようになってきました。
こうしたビジネス環境の中で、組織のマーケティング担当者は、顧客に自社の商品やサービスを理解してもらい、適切に顧客とコミュニケーションすることが必要になっています。顧客とのコミュニケーション結果は、PDCAサイクルのC=チェックに当たる評価・改善プロセスによって組織にフィードバックされ、より高品質な取り組みを行わなければなりません。
こうして繰り返されるPDCAプロセスは、マーケティング部門だけにとどまらず、全社的な改善活動に結びつきます。たとえば、外部委託するコールセンターの顧客対応内容、情報システム部門と販売部門が主管するオンライン・ショップの購入記録、営業担当者の声、販売代理店からの問い合わせ。これらをすべて記録し、活用するために膨大な情報を処理するデータ管理基盤も必要になるでしょう。
SASは、これらの最新ニーズにこたえられるソリューションを、SAS Customer Intelligenceとして提供しています。SAS Customer Intelligenceには、大きく4つの機能があります。
- 顧客の理解を支援
- 顧客とのコミュニケーションを支援
- 継続的な評価・改善を支援
- データ管理を支援
以下、これらについて見ていきましょう。
顧客の理解を支援
SAS Customer Intelligenceは、顧客の理解を支援する機能によって、「顧客が何を考え、何を望んでいるか」を明らかにします。顧客の真のニーズを迅速につかむことは、次の一手を打つスピードを加速します。また、顧客間のつながりを発見するなど、新しい視点で顧客をつかむことも可能にします。この機能は、以下の4つから構成されます。
顧客とのコミュニケーションを支援
SAS Customer Intelligenceは、顧客とのコミュニケーションを支援する機能によって、適切なタイミングで、適切な顧客に、適切な提案を行うことを支援します。顧客は、必要な情報を適切なタイミングで、かつ適切なチャネルを通して受け取ることにより、商品やサービスへの理解が進みます。こうして顧客とより良好な関係を築くことが可能になります。この機能は、以下の4つから構成されます。
継続的な評価・改善を支援
SAS Customer Intelligenceは、継続的な評価・改善を支援する機能によって、マーケティングの成果を数字として明らかにし、分かりやすく可視化します。成功/失敗の原因を深く掘り下げることで、日々展開する組織のマーケティング・プログラムを軌道修正し、常に成果を出せるマーケティング活動を展開することを支援します。この機能は、以下の4つから構成されます。
データ管理を支援
SAS Customer Intelligenceは、データ管理を支援する機能によって、マーケティングで利用できるすべての情報を何度も活用できるデータとして蓄積します。これは上記3つの機能のベースとなる部分であり、これがあるからこそSASはあらゆる組織がマーケティングを最適化できる強力な統合基盤として機能するのです。この機能は、以下の2つから構成されます。
クチコミをマーケティングに生かし、解約率が大幅減
SAS Customer Intelligenceの最新マーケティング・ソリューションの1つが、コミュニティ分析にあります。SAS Customer Link Analyticsは、人と人のつながりをつかみ、マーケティングに活用していきます。ここで、大手通信業者であるVodafone Australiaの成功について見ていきましょう。
ソーシャルネットワーク分析を導入したVodafoneでは、加入者の通信記録からコミュニティを識別し、リーダー(中心人物)やフォロワー(友人)、インフルエンサー(他者に影響を与えやすい人物)など、コミュニティにおける「役割」を特定することができました。通話時間や通話頻度、またモバイルコミュニティサイトでの交流などにもとづき、友人間の関係の深さを“強度”として認識することも可能になりました。
深く分析していくと、さまざまなことがわかりました。たとえば、以下のような内容です。
- インフルエンサーが新しい携帯端末を購入すると、多くのコミュニティ・メンバーが同じ端末を購入している。
- インフルエンサーが新料金プランに移行すると、多くのコミュニティ・メンバーが同じ料金プランに移行する。
- リーダーが他社に乗り替えると、フォロワーの多くが他社に乗り替えてしまっている。
特に興味深いのが1と2です。これをクチコミ・マーケティングに活用することが可能です。たとえば、端末の拡販キャンペーンではインフルエンサーに絞ってプロモーションすれば、従来の全員を対象とするマーケティング以上の投資対効果が期待できます。魅力を伝えるのが困難な新料金プランでは、時間をかけてインフルエンサーに説明し、納得してもらうことができれば多くのメンバーが自動的に移行してくれる可能性も高まります。
Vodafone Australiaでは、こうした試みによって、マーケティングROIを高めることに成功しました。3の解約率についても、リーダーをつなぎとめる施策によって、解約率の減少につなげているといいます。Vodafone Australiaにとって、SAS Customer Intelligenceはビジネスに不可欠な存在になっています。
進化を続けるSAS Customer Intelligence
Vodafone Australiaで例に挙げたコミュニティ分析に加え、ROIの最適化でも、SAS Customer Intelligenceは最新のソリューションをラインアップしました。キャンペーン・プランニングの最適化がそれです。
従来、キャンペーンの最適化は、個別キャンペーンが、それぞれにROIの最大化を追求してきました。一方、この最新ソリューションでは、同時期に展開する複数のキャンペーンについて、コストを適切に配分することで、全体最適を図ることが可能です。
たとえば、文具と食品、食器という3つのキャンペーン対象商材があるとしましょう。これまでは、文具担当者、食品担当者、食器担当者のそれぞれが個別に自分の担当する商品の売上を最大化すべく、知恵を絞ってきていました。これを、全体の売上を最大化するためのプランに変えるのです。
具体的な例を挙げましょう。欧州の銀行では、「投信」「個人年金」「住宅ローン」「クレジットカード」などの商材について、「支店の営業スタッフ」「ダイレクトメール」「電子メール」などの手段を最適に配分した結果、ROIを1.4倍に引き上げることに成功しました。さらに高度なキャンペーン・プランニングを実施したところ、ROIを1.55倍にまで高めることができたのです。
このように、SASは時代に求められるものに積極的に対応しています。今後もソリューション強化を続け、SASは常に最高のマーケティング・ソリューションを提供する企業であり続けます。