データを社内のDNAに
いま、データサイエンティストが活躍する現場~
ソニー銀行株式会社
データアナリティクス部 CXデザイン部
執行役員
ルゾンカ 典子氏
ソニー銀行では、「ものごとをデータに基づいて決める」ことを重視しています。ビジネスに対する五感もとても大切です。ただ、それにデータを乗せて、データで証明することで、とてもパワフルな意思決定をできるようになります。社員一人ひとりが行動の中で、「これはデータとしてはどう見えるのだろう?」と考えることが理想で、データを社内のDNAにしたいという思いもあります。
私たちは、データを活用した営業戦略の推進と、社内プロセスの効率化を並行して進めています。営業戦略の推進では、お客様のニーズを「見える化」します。いまはデータを集めなくて良い時代。データは勝手に集まってきます。それをどれだけ活用できるかが問われます。大切なのは、「優れたモデルが出来ても使えなければ意味がない」こと。ビジネスは研究とは違いますから、80%くらいの精度でも使ってもらえるモデルを目指します。社内プロセスの効率化は、オートメーション化が中心。データサイエンティストとしての視点が業務プロセスの確立にも役に立ちます。
今日は、学生の方も多く来場されていますが、データサイエンティストを目指すなら、学生のうちに身につけられる3つのスキルがあります。
まずは、コミュニケーション。専門分野について、話す相手のレベルに合わせて会話できるようにしましょう。特に英語は重要です。海外の情報に日常的に触れることで、いち早く業界で何が起きているのかつかむこともできます。
次に、技術力。プログラミングは学習時間をかければかけるほど伸びます。その際に統計の知識は土台になります。例えば「平均値と中央値の違いは何で、どういうときに使うべきか」「どの手法でどんなアウトプットを出せるか」くらいはつかんでおいてほしいですね。
最後は、考え方。クリティカル・シンキングとロジカル・シンキングをきちんとできるようにしておきましょう。前者では、自分で聞いたことを自分なりに解釈し、ほかのものに左右されずに考えるくせをつけておいてください。後者は、コーディングにも役立ちます。実際、ソースコードを読むと、その人の考え方のプロセスが見えます。
なお、データサイエンティストには、ビジネス知識とマネジメントという2つのスキルも必要で、それらは組織に入ってから身につきます。マネジメントは、データマネジメントも含みます。欲しいデータを欲しい形に加工するスキルは極めて重要で、この能力は分析を素早く実行することにつながります。
データサイエンティストが各部に分かれている組織もありますが、いろいろな業務部門出身のデータサイエンティストを集めて1つの分析チームを作るほうが良いと考えています。各業務知識を持ったデータサイエンティストがお互いの得意/不得意分野をカバーし合いながら、アイデアを共有してより高め合うことができる理想的な環境です。
- 異業種交流で磨かれるデータサイエンス人材(株式会社NTTドコモ)
- データサイエンティストは経営幹部候補生である(コニカミノルタジャパン株式会社)
- データを社内のDNAに(ソニー銀行株式会社)
- データに騙されない、データで騙さない、(アスクル株式会社)
- データサイエンティストが「仮説」を生み出す(塩野義製薬株式会社)
- データサイエンティストはジェネラリスト(SAS Institute Japan 株式会社)
- 自分なりのデータサイエンス像を(有限責任監査法人トーマツ)
- 大学でリアルなデータを分析する経験を(国立大学法人 滋賀大学)
- 産学連携によるデータサイエンス教育を(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)
- あなたの趣味を究めてください(株式会社テプコシステムズ)