データサイエンティストは経営幹部候補生である
いま、データサイエンティストが活躍する現場~
コニカミノルタジャパン株式会社
マーケティング本部 データサイエンス推進室
室長
矢部 章一氏
マーケティング本部 データサイエンス推進室
松木 順氏
コニカミノルタジャパンのデータサイエンス推進部は、設立時の投資費用を数カ月で回収するという目に見える成果を挙げています。買い換え需要予測による営業効率化、必要保守予測を利用した保守計画による保守効率化、需要予測に基づいた自動発注化による受注業務効率化を実現しています。
このような成果を上げるために、私たちは、データサイエンティストのキャリアパスを明確にしています。「データサイエンティストは経営幹部候補である」という位置づけです。私たちにとって、分析のスペシャリストとしてITや数理モデルを使いこなせる人材になることは、初級レベルにすぎません。ビジネススキルを身につけることでようやく中級と認められ、最終的には、経営層から相談を受けることができるようになるキャリアパスを見据えています。
分析の知識や、ITの知識は、学習すれば身につきます。優れたテキストを買うことはできますし、Webにも情報があふれています。一方、ビジネスを学ぶことは困難です。営業課題を解決しようとすると、営業の知見が必要です。
弊社では、ビジネス力を身につけるために、他部門からビジネスのエキスパートと一緒に分析をする仕組みを標準化しています。彼らの知見を活用して、分析に取り組むことになるわけです。そんな環境で、データサイエンティストに求められるコミュニケーション能力は2つあります。
幅広いビジネス知識を身に付けて彼らの言葉を理解する能力と、視覚化等を用いて彼らにデータサイエンスをわかりやすく伝える能力です。
前者のために、データサイエンティストは入社後1年目に、ビジネススキルの研修を受けます。財務、法務などを含めた幅広い研修です。後者は、ビジネスのエキスパートに対して、専門用語を排除して視覚的に伝えるやり方を徹底することで可能になります。データ加工プロセスは、GUIを最大限に活用し、「データの源泉は何で、それをどうやって加工して、どのような結果が出たか」を一目瞭然にします。様々なデータは、全社共通のデータwikiという仕組みをつくり、どんなデータが、どういう意味を持つのかをわかりやすい言葉でデータ項目ごとに見られるようにしています。
データサイエンティストとして成果を出すために必要なビジネス現場とのコミュニケーションのためには、多種多様な専門性が必要です。統計学や分析スキルも大切ですが、より幅広い能力を身につけ、皆様のキャリアに役立ててください。
(写真: 松木 順氏)
- 異業種交流で磨かれるデータサイエンス人材(株式会社NTTドコモ)
- データサイエンティストは経営幹部候補生である(コニカミノルタジャパン株式会社)
- データを社内のDNAに(ソニー銀行株式会社)
- データに騙されない、データで騙さない、(アスクル株式会社)
- データサイエンティストが「仮説」を生み出す(塩野義製薬株式会社)
- データサイエンティストはジェネラリスト(SAS Institute Japan 株式会社)
- 自分なりのデータサイエンス像を(有限責任監査法人トーマツ)
- 大学でリアルなデータを分析する経験を(国立大学法人 滋賀大学)
- 産学連携によるデータサイエンス教育を(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)
- あなたの趣味を究めてください(株式会社テプコシステムズ)