異業種交流で磨かれるデータサイエンス人材

いま、データサイエンティストが活躍する現場~
株式会社NTTドコモ                

デジタルマーケティング推進部 デジタル推進担当
担当課長
川崎 達矢氏

NTTドコモの組織の中で、いわゆるデータサイエンティストが所属している部門では、契約社員を含めて145人が働いています。弊社では、データドリブン経営の推進にあたって「データ分析のスキルと、マーケティング・マインドを併せ持つ人材を育てよう」というポリシーを定めています。私たちの組織のメンバーは、2009年の53人から約2.7倍に増加しました。私たちが出したアウトプットは、年間5250件。2009年の1300件から4倍になっています。このように、データサイエンティストへの需要は大きな高まりを見せています。

分析チームのリーダーは、年間1000件以上の分析に携わっていて、経営層から「こんな分析できないの?」と依頼されても、翌日にアウトプットしてしまう優秀な方です。ちょっと変わったところがあり、SIMを20個くらい持っています。弊社のSIMだけではありませんよ。元々携帯が好きで、弊社に入社して働いてきたのかもしれませんね(笑)。分析や可視化のスキルに加えて社内のデータに関する知識が豊富で、データが発生する背景が見えているため、ビジネスとデータをつなぐことができる。だからチームメンバーは、キモになる部分を何でも彼に相談できます。

会場の皆さんは、データサイエンティストを目指していらっしゃる方が多いでしょう。イメージされているのは、統計学の博士号を持っているような人材なのでは? もちろん、そんな人材も居ます。でも、すべてではありません。統計に詳しいメンバーは、その知識を生かしてチームに貢献できます。Web解析のエキスパートは、最近では動線解析やソーシャルリスニングなど、話題のテーマに取り組んでいます。

データサイエンティストに必要なのは、そうしたスキルに加えて、強い好奇心や感受性を持ち、いろいろな分野の知識を学ぶことだと思います。弊社で活躍しているメンバーは、総じて勉強し続けています。チームで最も統計に強いメンバーは、元々プレゼンが苦手でした。いまでは、努力して見事なプレゼンをします。社内研修だけでなく、社外のセミナーなどに出て同様の問題意識を抱えるさまざまな人と異業種交流することもまた勉強です。

弊社は、スポーツビジネスやフィンテックに加え、パートナー企業との共創を進める「+d」という取り組みも始めています。私たちの組織の分析案件にも、パートナー企業から依頼されたものが出てきました。今後はもっと増えてきます。データサイエンティストの活躍の場は無限の可能性を秘めていると考えています。