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世界自然保護基金(WWF) • Data for Good(データを活用した人道支援/社会支援)に関する事例
以前よりも遥かに少ない支出で同額の資金を調達できるようになっています。つまり、WWFも会員の皆さんも、より効率的に地球の保護に貢献できているのです。
マック・ミラビレ(Mac Mirabile)氏 • 戦略・財務分析担当ディレクター
概要
業種:サービス
世界自然保護基金(WWF)は、自然を保護し、人間による環境破壊を削減するための活動を行っている世界規模の環境保全団体です。詳細はWebサイト(worldwildlife.org)をご覧ください。
SAS® のアナリティクスの活用方法
テクノロジー:SASのアナリティクス、SAS Data Management、SAS Data Quality
WWFは、会員やサポーターの金銭的サポートを通じてその使命を達成しており、あらゆる貢献を歓迎しています。SASのアナリティクスを導入したことで、WWFでは最大限のマーケティング効果を最小限のコストで追求することが可能となり、集めた資金を環境保全という使命のために効果的に活用し続けられる態勢が実現しています。
募集コストを最小限に抑えながら、寄付金とその活用効率を最大化できる活動体制の実現
- 様々な寄付者のそれぞれに最適なマーケティング方法を見つけ出すことが、募金活動の成功への鍵となります。好みのコミュニケーション手段は人によって違うからです。SASのアナリティクスにより、人々の好みの連絡方法とタイミングを把握できるようになりました。
- 寄付の募集コストを抑制することは、WWFにとって優先課題の1つでした。効果の薄いマーケティング活動による資金の浪費は、使命の遂行に悪影響を及ぼしかねないからです。SASのデータ品質テクノロジーにより、郵送先の重複など、長い目で見るとコストのかさむ各種の非効率性を最小化することができました。
SAS®は様々な支出削減の実現に貢献し、WWFはより多くの成果を達成するための資金を獲得
- 個人向けのキャンペーンを最適化したことで、個人宛のカタログ郵送から生じる寄付収入が25%増加
- 郵送数が50万通も減ったにもかかわらず、純収入は増加
- 郵送先の重複を排除したことで、大幅な節約が実現
- 外部のコンサルティング会社のサービスを利用する必要がなくなったため、多額の年間利用料の節約が実現
アナリティクス・ソリューションとデータ品質ソリューションが、マーケティング活動の改善と寄付金の有効活用に貢献
SASの高度なアナリティクス・ソフトウェアには、課題の解決、意思決定の強化、他の方法では見逃してしまうような機会の発掘といった取り組みに役立つ、最先端の革新的なアルゴリズム群が組み込まれています。
SASのデータ管理テクノロジーは、データの改善、統合、統制を支援するデータ品質プラットフォームを基盤として構築された、業界を代表するソリューションです。
SAS Data Qualityは、ユーザーがどこにいても、データを手元に移動することなく、データ品質の問題に対処できるようにします。その効果は、仕事のスピードと効率の向上だけではありません。役割ベースのセキュリティにより、機密データを危険にさらすこともなくなります。
詳細情報:SAS Data Quality
環境保全の募金活動を効率化し、危機に瀕している生物種の保護をさらに推進
世界自然保護基金(WWF)では、人間が自然と調和して生きられる未来を築くための寄付金とその活用効率を最大化するために、SASのアナリティクスとデータ管理ソリューションを活用しています。
一見すると、それはごく普通の光景です。カンボジアのメコン川で、イルカの赤ちゃんが母親と一緒に泳いでいます。しかし、この地域をモニタリングしている自然保護活動家にとって、これは記念すべき瞬間でした。カンボジアのイラワジ・カワイルカは絶滅危惧種であり、生き残っている80頭のうち約20頭が1つの「プール」(乾期にも水深が保たれる領域)を棲み処としています。そこで生まれたのが、この赤ちゃんイルカだったのです。メコン川の象徴として愛されているこの生物を保護するために、地域社会やカンボジア政府と緊密に連携しながら活動しているWWFにとって、この誕生は一筋の希望の光です。
これこそが、WWFの100万人を超える会員と数百万人のサポーターの切なる願いであり、自然環境を保全し、地球上の生物多様性に対する極めて切迫した脅威を低減しようと闘い続けている目的です。
総合的に見た場合、会員とのコミュニケーションを個人別化し、コスト構造を理解し、マーケティング活動全体を確実に最適化することによって、環境保全という私どもの使命のために、以前よりも遥かに少ない支出で同額の資金を集められることが分かっています。
マック・ミラビレ(Mac Mirabile)氏 • 戦略・財務分析担当ディレクター
募金活動・資金活用の最適化
WWFの使命を達成するための活動は、現状を変えたいという熱意に溢れた会員やサポーターからの金銭的支援(会費や寄付)によって成り立っています。そのためWWFでは、さらに大規模な形で環境保全の成果を達成していけるように、新たな寄付者の獲得と既存の寄付者の維持に継続的に取り組んでいます。WWFの米国オフィスで、SASのアナリティクスとSAS Data Managementを活用してマーケティング活動の費用対効果の最大化を図ったところ、寄付金収入が大幅に増えた一方で、寄付金の獲得コストは低減しました。つまり、地球の保護に投入できる資金が二重の意味で増加したのです。
「寄付はWWFの環境保全活動の重要な原動力の1つです」と話すのは、WWFの戦略・財務分析担当ディレクター、マック・ミラビレ(Mac Mirabile)氏です。「募金活動は決して簡単ではありませんが、SAS[のソリューション]はその領域に真の違いもらしてくれます。」
SASのアナリティクスの導入により、WWFでは、寄付者一人ひとりの心に響く連絡方法(カタログの郵送、電話、電子メールなど)をピンポイントで特定できるようになりました。また、最適なチャネルの把握だけにとどまらず、個々の寄付者に最適な連絡頻度、コンテンツ、テーマを判断する目的にもSASを活用しています。
「SASのおかげで、どのサポーターとも、ご本人に合わせてカスタマイズした方法でコミュニケーションできるようになりました。今では、サポーターの寄付履歴、人口統計学的属性、関心対象、過去の募金活動に対する反応などを詳しく検討することができます。そうした情報を基に、長期的に優れたコスト効率が見込めるようにフォロー活動を最適化してくれる自動プロセスを用いて、一人ひとりに合った戦略を組み立てるのです」(ミラビレ氏)。
SASを導入する前のWWFでは、サポーターのセグメンテーションを、外部のコンサルティング会社が実装した標準的なRFM(recency, frequency, monetary:最新寄付日、寄付頻度、寄付金額)分析の方法論に頼っていました。そしてマーケティング担当者は、各セグメントの反応率の想定値に基づき、どのキャンペーンをどの寄付者に送付するかを振り分けていました。現在のWWFでは、SASを活用して、個々のキャンペーンを徹底的にテストすることができます。
その結果、例えばダイレクトメールに関しては、毎月の送付を希望する寄付者もいれば、四半期毎の送付や、毎年特定月の送付を好む寄付者もいることが判明しています。SASの高度なモデリングを活用し、相手の希望に配慮して郵送対象者を絞り込むようにしたところ、複数のキャンペーンで寄付金収入が25%も改善しました。
支出を減らしながら、より多くの成果を達成
WWFではアナリティクスに基づき、寄付者とのコミュニケーション方法を根本的に変革しました。以前は一定期間内に郵便物が何通も届いた会員もいましたが、今では1通しか届かないようになっています。また、以前は全く連絡を受け取ることのなかった会員が、今では積極的に寄付をしてくれるサポーターとなっている例もあります。
「今では、印刷物のカタログへの反応率が高い会員が誰で、3ヶ月間に集中して一連の電子メールを受け取ることを好む会員が誰かなどを、より的確に把握しています。改良版の[分析]モデルを2015年に導入しましたが、それだけで、郵送数が50万件も減った一方でWWFの純収入は増加する、という効果がありました」(同氏)。
WWFでは、もっとシンプルな形のコスト削減も実現しています。SAS Data Qualityの機能を活用して郵送先の重複を排除し、印刷費と郵便料金を節約したのです。また、人々はWWFとの連絡に様々なチャネル(Webサイトから郵便まで)を利用することから、どのチャネルでもサポーターを同定できるように、SASのソリューションを用いて既存アカウントのデータを標準化し、データベース全体を最適化しています。
「総合的に見た場合、会員とのコミュニケーションを個人別化し、コスト構造を理解し、マーケティング活動全体を確実に最適化することにより、環境保全という私どもの使命のために、以前よりも遥かに少ない支出で同額の資金を集められることが分かっています」と、ミラビレ氏は結論付けました。「つまり、WWFも会員の皆さんも、より効率的に地球の保護に貢献できているのです。」
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本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。