高品質データを繋げることで公共の安全を強化
単一の統合プラットフォームは、捜査官による効率的かつ確実な情報の収集、管理、分析に至るインテリジェンス・ライフサイクル全体を支援しています。
脅威を抑止し、犯罪と闘い、国家の安全を守る
ウェストバージニア州フュージョンセンターは、 • SAS® Law Enforcement Intelligence on Microsoft Azure を使用してこの事例を達成しました。
ウェストバージニア州フュージョンセンターは、SAS® Law Enforcement Intelligence on Microsoft Azureを使用して、データの管理、情報の共有、および各機関の犯罪解決と防止の支援を行っています。
犯罪やテロ行為の検知、防止、そして対処には、多くの捜査官と広く分散した情報が必要です。しかし、そのような情報は、複数のシステムや部署に散在しているため、犯罪の解決や防止に必要となる総合的な情報を取得できないことがあります。
フュージョンセンターは、情報共有と情報集約の改善を目的として設立されました。大都市圏にあるものもあれば、地方にあるものもありますが、フュージョンセンターは全米50のすべての州に存在します。また、フュージョンセンターはひとつとして同じものはありません。
地方部に位置するウェストバージニア州フュージョンセンター(WVFC)は、2008年の設立当時、最も小さなフュージョンセンターの1つでした。当初、同センターは、テロ対策、テロ資金供与、疑わしい取引報告、犯罪捜査支援に重点が置かれていました。やがて、WVFCの重点は、犯罪捜査支援と国土安全保障省(DHS)との連携を強化した「すべての犯罪、すべての脅威」モデルへ移行していきました。2020年、ウェストバージニア州DHS官房長官室と知事室の支援を受けたWVFCは、ウェストバージニア州議会を通じて恒久的な資金を確保し、麻薬情報室を設立しました。
法執行機関の戦力強化に向けて
予算と責任が増加したWVFCは、情報分析官の数を拡大しました。
WVFCの副所長であるスティーブン・パターソン氏は、「より専門的な知識を得ることができるようになりました」と語っています。「オープンソースの脅威グループ、人身売買のアナリスト、フォレンジック会計のアナリスト、麻薬関係の諜報チームに加えて、すべてのデジタルデバイスに関する犯罪捜査支援を提供するデジタルフォレンジックラボもあります」
「私たちの目標は、州内のあらゆる法執行機関の戦力強化に貢献する機関となることです」とパターソン氏は言います。「ここは小さな州なので、常に予算の問題があります。私たちは、警察当局が何を必要としているかを確認し、そのためのサービスを無償で提供しています。私たちがやろうとしているのは、どこにギャップがあるのを見つけ出し、ギャップを埋めることです。それがフージョンセンターの仕事です」
「SASを使うことで、発生時点が違ったために気がつかなかった関係を作図したり見つけたりすることができます。管理業務に気を取られる代わりに、より積極的にコミュニティで起こっていることに注意を向けることができるので、州の公共安全の面において大きなメリットです」 Steven Patterson Deputy Director West Virginia Fusion Center
堅牢なデータ管理でギャップを埋める
法の執行機関のギャップを埋めるために活動していたWVFCは、現在のデータ管理システムでは不十分であることに気がつきました。
「当初は、記録管理システムのほとんどがExcelのスプレッドシートで構成されており、センター内で手作業で行っていました」とパターソン氏は語ります。「特定の業務を自動化し、すべての処理が行われるようなシステムが必要だったのです」
WVFCは、SAS Law Enforcement Intelligence on Microsoft Azureに注目しました。
「SAS Law Enforcement Intelligenceによって多くの検索が自動化されました」とパターソン氏は言います。「分析処理をバックグラウンドで実行しているので、3年前に登録した識別番号と同じ番号を登録すると、ソフトウェアによってそれらの記録が結びつけられます。これにより、アナリストは、常にデータ管理をする必要なく自分の仕事に集中できます」
タイムリーに質の高いデータを活用して点と点を結ぶ
フュージョンセンターの活動は、人身売買や違法薬物売買の組織の壊滅、犯罪捜査の支援、犯罪防止につながる情報提供やつながりを作るという点で法執行機関にとって不可欠です。
元フォレンジック会計士であるパターソン氏は、クリーンなデータがいかに重要であるかを理解しています。
「ほとんどの職員や警察官は、多くのデータクリーンアップを伴うフォレンジック会計に触れることはありません」と同氏は指摘します。「データのクリーンアップと整理を行い、関連付け、権限に従って公開されていなければ、関係者や顧客が必要とするものにはならないのです」
SASを使うことで、WVFCは点と点を結ぶのに役立つクリーンでリアルタイムなデータを提供することができます。
パターソン氏は、「俗に『ゴミを入れればゴミが出てくる』と言われているように、すべてはデータがいかに優れているかに帰結するのです。特定の日時に発生した出来事など、具体的なデータを求められることがあります。WVFCでは、情報が要求された際に、クレンジングされたデータをベースに、プロアクティブに点と点を結びつけて関係性を作ることができるようになりました」と述べています。
ダッシュボードは、重要な質問に答えるための迅速なインサイトを提供します。
WVFCは、質問に迅速に答えることができるよう、SAS Law Enforcement Intelligenceを使用して単一のビューを提供するダッシュボードを構築しています。
SASを導入する以前は、データが複数のシステムに分散していたため、情報収集に多くの時間と手間を要していました。現在、パターソン氏は、ログインして、サービスリクエストの数や不審な行動の報告など、必要なデータをすぐに確認することができます。
「SASからのデータ取得は非常に効率的で、何が起きているのかを完全に把握するために役立ちます」とパターソン氏は言います。「毎日、各アナリストの作業内容や、完了した案件、提出した案件を確認することができます」
WVFCのデータを一元的に把握することは、DHSが求めるWVFCの年次評価を作成する際に特に有効です。
以前は、パターソン氏が1ヵ月ほどかけて評価をまとめていました。現在、WVFCでは、この目的のために構築されたダッシュボードを使用しています。時間の短縮と情報の深まりは、過去の数年間と比べて劇的な改善が期待されています。
「通常は1ヵ月ほどかかりますが、ダッシュボードを使えば1週間程度に短縮できると考えています」とパターソン氏は言います。
「以前は、いくつかの成功事例を紹介することはあっても、アナリストが日々何をしているかまで踏み込むことはありませんでした。今では、より深い情報と年間のサービスリクエストをよりよく把握するため視覚的に指標を提供できるようになりました」
データの可視化によって法廷や人身売買、麻薬事件の描画が行われます。
解釈が困難なExcelのスプレッドシートは、もはや過去のものになりました。現在、WVFCではデータの可視化を使用して、運用上の問題やトレンドを視覚的に表現するためのカスタムダッシュボード、チャート、およびグラフを作成して、捜査に必要な情報にアナリストが主体的にアクセスできるようにしています。
「視覚的なデータの表現は、特に検察官や陪審員にとって強力なツールとなります」とパターソン氏は話します。「ストーリーが可視化されるので、1万行のアクティビティを含むスプレッドシートを見せるよりもはるかにインパクトがあります」
また、データの可視化は、見落とされがちな人身売買の兆候に関して新任の捜査官を教育するためにも役立っています。また、麻薬情報については、情報のあらゆる部分がデータの可視化の恩恵を受けます。
「過剰摂取の統計から教育、所得水準、人口密度まで、あらゆるデータを可視化できます」とパターソン氏は言っています。「その情報は事件解決に必要な全体像につながる可能性のある他の多くの情報にもマッピングされます」
ウェストバージニア州フュージョンセンター – 事実と数字
22
職員数
55
サービスを提供している郡の数
180万
ウェストバージニア州の住民の数
地理空間データで動向を把握し、RISで情報を共有
ウェストバージニアのような地方の州では、その多様な地理的条件から地理空間データが非常に重要になります。人口が分散していることに加え、特に犯罪に関しては、へき地での状況を把握するのが困難な場合があります。
パターソン氏のチームは、最近、SAS Law Enforcement Intelligenceの地理空間データ機能を活用し始めました。
「不審な活動報告に関連する住所や場所を入力すると、ソフトウェアによってマッピングされるため、1画面で全体像の把握と個々の記録の参照を行うことができます」とパターソン氏は言います。「傾向が見え始めることもあります。そうすると、犯罪組織に対処する際に必要な情報を突き止めることができます」
地理空間データの活用に加えて、WVFCは、外部組織がリクエストを入力できるRegional Information Sharing(RIS)ネットワークにSAS Law Enforcement Intelligenceを接続して大きなメリットを生み出しています。該当する情報をWVFCが持っている場合、システムは即座にフュージョンセンターに連絡するよう照会機関に通知します。
シームレスなワークフローによる効率の最大化とエラーの最小化
ケースを作成する際に必要な情報は多岐にわたるため、WVFCではプロセスの各ステップを論理的にフォローするワークフローが必要でした。
「1つの情報から次の情報へと、すべてが自然に流れていくので、異なることをするために画面上でいろいろな場所に移動する必要がありません」とパターソン氏は言います。「かなりシームレスなワークフローで、非常に効率的です」
また、WVFCでは、関連する犯罪行為コードやそのほかの情報を含むドロップダウンメニューを追加して、データ入力のエラーを減らすようにしました。
機密データおよび個人のプライバシーを保護する
WVFCの活動において情報共有は不可欠ですが、パターソン氏は、個人のプライバシー、市民権、市民的自由の保護、機密情報のセキュリティと機密保持の重要性を強調しています。
「WVFCの日常のオペレーションの監督に加えて、フュージョンセンターのプライバシー責任者も務めています」とパターソン氏は言います。「私たちは、個人を特定できる情報や機密情報が多く含まれるデータを扱っているので、できる限り厳重に保護し、アクセス制限をかける必要があります。それがSAS Law Enforcement Intelligence on Microsoft Azureを配置することを選択した理由の1つです」
さまざまな情報を組み合わせることによって実現する安全な市民生活と地域社会
パターソン氏は、SASがWVFCの市民やコミュニティの保護にどのように役立っているかを振り返って、すべてはデータ統合に尽きると語ります。
「SASを使うことで、異なる時点で発生したためにまだ気づいていない関係性を見つけることができます」とパターソン氏は言います。「パズルのピースを組み合わせるように点と点をつないでいくのです。これにより、管理業務に煩わされることなく、コミュニティで何が起こっているのかをプロアクティブに注目することができるので、公共安全の面で州の大きな利益となっています」
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。