Volvo Trucks社とMack Trucks社がこの事例で活用した製品 • SAS® Platform • SAS® のAIソリューション
Volvo Trucks社とMack Trucks社、センサーデータとSAS® のAIソリューションを活用して、計画外の稼働停止時間を最小化
毎日、膨大な台数のトラックが燃料、作物、電子機器、その他の必需品を輸送するために幹線道路を走行している。農場やレストランから、小売業者や病院に至るまで、ほぼ全ての経済活動が、正常に機能するための前提条件として貨物輸送の効率的な流れに依存している。
計画外の稼働停止は、運輸業者に対してはもとより、タイムリーな配達に依存するその顧客にも多大な損害をもたらしかねない。運輸業者にとっては、運行スケジュールを割り当て済みのトラックが突然故障すると、1日につき数千ドル(数十万円)の損失になる可能性がある。小規模な地域の運輸業者の場合、予備の車両が手元にある可能性は大規模な運輸業者よりも低いため、その影響はさらに大きくなる恐れがある。
Volvo Trucks社とMack Trucks社(いずれも、スウェーデンのメーカーであるAB Volvo社の子会社)は、SASのモノのインターネット(IoT)テクノロジーと人工知能(AI)を基盤とする「リモート診断および予防保守整備サービス」を用いて、この難題に対応している。これらのソリューションにより、Volvo Trucks社とMack Trucks社では、コネクテッド・ビークル(つながる車両)に対する診断/保守整備サービスをより効率的に、正確に、そしてプロアクティブ(能動的)に実施することによって、自社の顧客が車両の運行時間を最大化し、運行中断コストを最小化できるように支援することが可能になっている。
当社のエンジニアたちは今では、問題がお客様の業務に悪影響を及ぼす前にそれらを把握し、トラックの設計を変更することができます。ですから、当社は以前よりも迅速に、最高レベルの製品を路上に送り出せます。 Conal Deedy Director of Connected Vehicle Services Volvo Trucks North America
サービスとしてのリモート診断
Volvo Trucks社とMack Trucks社では、顧客が購入した個々のトラックに対して比類のないサポートサービスを提供するために、テレマティクスを活用している。Volvo Trucks社は2012年に約4,000台の車両を対象として「Remote Diagnostics」というサービスを立ち上げており、Mack Trucks社も「GuardDog Connect」と呼ばれる同様のサービスを2014年に開始した。今日では、17万5,000台以上のトラックが、24時間365日体制の常時稼働サービスによってサポートされているという。
「お客様がVolvo Trucksを購入する理由の一つは、稼働時間です」と説明するのは、Volvo Trucks North America社のコネクテッド・ビークル・サービス担当ディレクター、コナル・ディーディ(Conal Deedy)氏だ。「お客様には遂行すべき仕事がありますから、そのミッションを完遂するためにトラックの運行を維持すること、あるいは、運行中に何か問題が起きた場合でもビジネスへの悪影響を最小限に抑えることが重要です。」
Volvo Trucks社のサービスは、各トラックから届くデータをモニタリングし、車両の主要システム(エンジン、排気後処理、トランスミッションなど)のいずれかに何らかの不具合が発生したときにトリガーされる各種の故障コードを検知する。各トラックに搭載された数千個のセンサー群は、コンテキスト情報を提供するために、リアルタイムでストリーミングIoTデータを収集している。このデータは、イベントが発生した場所や、故障時の条件(例:高度、周辺の気温、トラックのギア、エンジン回転数、トルク負荷など)を含んでおり、診断に欠かせないコンテキスト情報の提供源となる。
「当社では、非常に大量のデータをSAS Platformを通じて処理しています」と、ディーディ氏は説明する。「詳細な情報を用いて故障とその重大度を素早く診断し、推奨のアクション・プランを特定するのです。その結果を受け、Mack社の “24/7 Uptime Center” に常駐している当社の担当者が、お客様に診断結果をご説明した上で、悪影響を最小限に抑えながら故障に対処するためのプランを策定します」。担当者は、修理がより効率的かつ効果的に完了するよう支援するために、地元の整備施設に対して詳細な修理手順を送信することもあるという。顧客が自力で修理を実施する場合は、詳細な情報をその顧客に対して直接送信できる。問題がソフトウェア関連の場合には、トラックはリモート方式でアップデート可能であり、運行予定を乱すことなく、素早くミッションに復帰できる。
このサービスの拡大が進むなか、「SASのおかげで、当社は正確な診断を効率的かつ大規模に提供できるようになっただけでなく、より多くの部品や故障モードに対処することも可能になりました」と、ディーディ氏は語る。
同様に、Mack Trucks社の「GuardDog Connect」も、顧客が問題の重大度を評価し、修理を適切に管理できるように支援する。今現在、このテレマティクス・ベースのサービスは、70,000台以上のコネクテッド・ビークルを見守っている。「このサービスのおかげで、当社は、運転席のドライバーが気付くよりも前に、車両上のあらゆる問題を先取りすることができます」と、Mack Trucks社のコネクテッド・ビークルおよびアップタイム・サービス担当バイス・ブレジデントであるデビッド・バーデュー(David Pardue)氏は説明する。
GuardDog Connectは、車両からリモート方式で、故障コードやその他のパラメータ値という形でデータを収集し、故障を重大度に基づいてランク付けする。故障が即座のアクションを必要とする場合、担当者は顧客に連絡を入れ、状況の詳細と推奨のアクションを説明する。トラックが保守整備サービスを必要とする場合には、担当者は、車両の到着までに修理技術者の準備が完了するように、その問題に関する情報(必要な部品など)をディーラーの整備施設に通知する。担当者は、約束の時刻までに車両が運行に復帰するかどうかを見届けるために、ディーラーの整備施設に入っている車両も追跡管理する。故障が一刻を争うものではない場合や、人身事故につながる可能性をはらんでいない場合には、担当者は、顧客企業が運行管理的に最も都合のよいタイミングでの修理を計画できるように、その企業の意思決定者にその旨を伝える。
Volvo Trucks社とMack Trucks社に関する事実と数字
175,000
リモート診断のサポート下
にあるトラックの台数
数百万
リアルタイムで処理される
レコードの件数
25%
修理時間の削減率
プロアクティブに問題を予防
これらのサービスは顧客の車両がより迅速に問題から復帰するために役立つが、それだけではない。アナリティクスはそもそも問題が発生するのを防ぐためにも役立つ。
Mack Trucks社では、車両のあるべきパフォーマンスを顧客がその仕様に基づいて理解できるように支援しており、実際の車両利用状況に基づいてパターンを判別するためにアナリティクスを活用している。「これにより、当社は顧客に対して従来の日程ベースのプランではなく、よりダイナミックな、あるいは最適化された保守整備プランを提示することができます」と、バーデュー氏は話す。
また、アナリティクスは、トラックの設計改善に活かせるように、現場におけるトラックの挙動に見られる共通の特徴を精査する目的でも利用されている。この分析では、リアルタイムのストリーミング・データを用いて、特定のエンジンタイプや年式に共通して見られる問題を素早く特定し、それらの発見事項をエンジニアリング部門に伝達する。「当社のエンジニアたちは今では、問題がお客様の業務に悪影響を及ぼす前にそれらを把握し、トラックの設計を変更することができます。ですから、当社は以前よりも迅速に、最高レベルの製品を路上に送り出せます」と、ディーディ氏は話す。
より強力なアナリティクス文化の醸成
SASを活用するようになったことで、Volvo Trucks社とMack Trucks社ではともに、より強力なアナリティクス文化を醸成できるようになった。「アナリティクスは当社の文化の一部となっています。当社では、ビジネス手法を再考するためにアナリティクスを活用しています」と、ディーディ氏は説明する。「社内の知識を取りまとめ、その結果を活かしてお客様の成功に好影響を及ぼすために、SASのアナリティクスを活用しているのです。」
「SASの導入後は、よりスマートに仕事をこなせています。以前は得られなかった情報の中に潜んでいる知見を把握できますから、より効率的かつ効果的に対策を講じ、お客様のためにより良い結果を推進することができています」と、パーデュー氏は説明する。
SASの導入後は、よりスマートに仕事をこなせています。以前は得られなかった情報の中に潜んでいる知見を把握できますから、より効率的かつ効果的に対策を講じ、お客様のためにより良い結果を推進することができています。 David Pardue Vice President of Connected Vehicle and Uptime Services Mack Trucks
顧客の生命線を握るサービス
IoTテクノロジーとSASのアナリティクスの組み合わせは、Volvo Trucks社に素晴らしい成果をもたらしている。「検知された故障に関しては、SASを用いて数百万件のレコードをリアルタイムで処理し、必要な対応措置を担当者に提示するようになったことで、診断時間は70%、修理時間は25%ほど削減されています」と、ディーディ氏は言う。「これは、トラックの保守整備サービスが迅速かつ正確に完了することを望むお客様にとって、非常に大きな削減効果です。」
一方、Mack Trucks社が指摘するのは、全てのステークホルダーに対する様々なメリットだ。ディーラー各社はプロセスの効率化を享受する。Mack Trucks社は車両とその主要部品のパフォーマンス状況を把握することができ、それが稼働時間の向上へとつながる。そして、稼働時間の向上が、顧客をこの上なく幸せにしている。「当社のネット・プロモーター・スコアは非常に高水準です」と、パーデュー氏は言う。「常に一貫して、『これは我が社の生命線を握るサービスです』といった非常に心強いフィードバックが寄せられています。」
人工知能に不可欠な機械学習機能と自動化機能を活用することにより、両社のアナリティクス駆動型サービスは、今後も、顧客ニーズの変化にタイムリーに対応し続け、顧客の幸せを末長く維持し続けることになるだろう。
「機械学習は、当社がまさに今、SAS Platformを活用して重点的に取り組んでいる領域です」と、ディーディ氏は言う。「当社では、データに潜んでいる洞察を明らかにし、それをエンジニアリグン部門のトラックに関する知識と組み合わせています。この融合により、データの意味を正確に理解するという側面が格段に向上します。将来は極めてエキサイティングであり、その可能性は青天井です。」
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。