SAS® Viya®とオープンソース: コラボレーションによるイノベーション
Techniker Krankenkasse
公的健康保険会社の顧客対応を改善するために、SAS Viyaでパターン認識を追加
分析の高速化と柔軟性の強化
Techniker Krankenkasseがこの事例で活用した製品 • SAS® Viya®
公的健康保険会社のTechniker Krankenkasse、革新的なパターン認識機能を構築するためにSASと協働
誰も尋ねたことのない質問への回答は、通常は意味がない。しかし、それが良い質問なのに誰も尋ねたことがないとしたら、どうだろう? それこそ、ドイツ最大の公的健康保険会社、Techniker Krankenkasse (TK) [読み:テヒニカ・クランケンカッセ]のアナリティクス・チームのデータサイエンティストであるティロ・アイヘンバーグ博士(Dr. Thilo Eichenberg)が直面していた課題である。
あるいは、より正確に言うとこうなる ── 「TK内のプロセスの向上、そして最終的にはカスタマー・エクスペリエンスの向上につながりうる有意義なパターン」を顧客関係(保険加入者との関係)から発見するために尋ねるべき質問はどのようなものか?
パターン認識は、オンライン小売業におけるマーケット・バスケット分析から、製造業における品質保証まで、多くの業界で幅広く利用されている。「自身の業界の外に目を向けてイノベーションを調査することには価値があります」と、アイヘンバーグ氏は言う。「これは当社のDNAの一部でもあります。いたずらに社名に “技術者 (techniker)” という単語を入れているわけではありません。」
当社のパターン認識アプリケーションは、SAS Viyaが新しい要件にどれほど柔軟に適応するかを示しています。当社の観点からすると、このアーキテクチャこそが、その将来性を担保しているのです。 Dr. Thilo Eichenberg Data Scientist Techniker Krankenkasse
相関性の探索
「匿名化されたデータのみを用いて、顧客イベント間の相関性を見つけ出し、そこから学習する」というユースケースがあるとする。例えば、「顧客からの特定の要求」と「サービスセンターにおける苦情」との間に相関性は存在するのか? また、電話よりもオンライン・チャネルの利用を好む顧客と比較した場合、この相関性は違ってくるのか?
「当社は非常にオープンで探索的なアプローチを採用していますが、まさにそれが難題化の原因です」と、アイヘンバーグ氏は説明する。「最大10ステップの場合に取りうるイベントパスは、あっという間に、ほぼ手に負えないほど複雑になります。なぜなら、これらのパスはさまざまなイベントを取り込み、さまざまなタイミングで発生するからです。」
ほぼ無限個のシーケンスが可能だが、そのほとんどは実際に発生することも、最適化されたプロセスへの手掛かりをもたらすこともない。そうした “針” を干し草の山から探し出すためには、特殊なアルゴリズムが不可欠である。アイヘンバーグ氏と彼のチームは、オープンソースのSPADEアルゴリズムがシーケンシャル・パターン・マイニングのための理想的なツールであることを短期間で特定した。その後、TK社は最初のアプローチにこのアルゴリズムを使用した。
SAS Viyaにより、オープンソースとプロフェッショナル・グレードのアナリティクスとの連携が実現
TK社は数年来のSASの顧客であり、この新しいプロジェクトよりかなり前の時点で、自社の最新の分析プラットフォームとしてSAS Viyaを採用することを決めていた。だとすれば、なぜこのパターン認識プロジェクトにSAS Viyaを使っていなかったのか? 理由は極めてシンプルで、以前のSPADEはSAS Viyaとの互換性がなかったからだ。しかし今では、その問題も解消済みである。
SAS Viyaのモジュール式のオープン・アーキテクチャを使用するということは、「パターン分析のためのアルゴリズムはRで実行されるが、SAS Viyaからトリガーされる」ということを意味する。これにより、データ・ビジュアライゼーションや対話型データ探索といったSAS Platformの機能をフル活用できるようになる。
「これにより、コンタクト・チャネルなどの特定タイプのデータを、フィルタを用いて表示したり隠したりするのが容易になります」と、アイヘンバーグ氏は言う。「何らかのパスが興味深いと思われる場合、SAS Viyaではマウスのクリックだけでデータをドリルダウンすることができます。」
Techniker Krankenkasseに関する事実と数字
1,080万
保険加入者の数
ドイツの
ハンブルグ
本部所在地
パイオニア
公的健康保険のデジタル化において
一人ひとり、そして全員のために
アイヘンバーグ氏と彼のチームは、オープンソースのモデルをSAS環境でネイティブに利用できるようになる必要があった。同氏はこの課題をSAS R&Dチームのメンバーに相談し、彼らは快く支援に同意した。最終的に、この新しい機能はSAS Viyaの一部として組み込まれる予定であるため、すべてのSAS Viyaユーザーがメリットを受けることになる。
今では、SPADEはSAS Viya内で直接実行されており、分析のパフォーマンスがさらにスピードアップしている。しかし、SASがそこに留まることはなかった。SASの開発者たちはパターン認識の効率向上も実現したのだ。プロトタイプがクラウド環境で素早く作成され、TK社はサンプルデータを用いたテストに成功した。SAS Viyaのコンテナ化されたアーキテクチャは、SAS環境由来のモジュールと他のシステム由来のモジュールを(セキュアなデータガバナンスを維持しながら)素早く組み合わせることを可能にする。
オープン性と統合性が将来の成功の確保を促進
「TKにとって、ソリューション・パートナーとのこの種のコラボレーションは稀であり、非常に役に立っています」と、アイヘンバーグ氏は言う。「これは “ウィンウィン” の状況です。結果として当社は真の付加価値を手にしていますし、将来的には他のSASユーザーも確実に、そこからメリットを享受できます。」
パターン認識の事例は数多くのアプリケーションのうちの一つにすぎないが、「それは、SAS Viyaが新しい要件にどれほど柔軟に適応するかを示しています」と、アイヘンバーグ氏は結論付けている。「当社の観点からすると、このアーキテクチャこそが、その将来性を担保しているのです。」
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。