インド証券取引委員会、投資家を悪質なトレーダーから保護するためにSASを採用
Securities and Exchange Board of India(SEBI:インド証券取引委員会)は、証券市場の発展を促進すると同時に、投資家利益の保護にも取り組んでいる。事実、インドの資本市場の発展におけるSEBIの役割は大きく、インドで最も重要な規制機関の1つとして投資家の信頼を集めている。取引市場に対する規制強化や不正調査が厳しさを増すなか、監視活動の重要性が増している。1日のトランザクション数が2億件を超えたの機に、SEBIは、不正行為の検知と防止に必要なハイパフォーマンス分析のためにSASの監視プラットフォームを採用した。
SEBIのジェネラル・マネージャーであるアブネシュ・パンデイ(Avneesh Pandey)氏は、こう説明する。「監視エンジンは翌日にはアラートを生成します。これにもとづいて監視担当者が対応し、調査案件としてまとめます。監視の段階から、さらに詳細な調査に移るのです」
調査は膨大な量の第三者データにもとづいて実行され、通話記録はもとより、印刷データのような不定形の資料を扱うこともある。
SEBIが導入したのは、包括的なSAS Business Analyticsプラットフォームだ。このプラットフォームには、不正の疑いがある取引行為を暴くために、証券取引所やその他の場所から集めた膨大なデータを集約および分析するためのエンタープライズ・データウェアハウスも含まれる。
SASを使うことで、不公平な取引で投資家を欺こうとする悪質な行為を防止し、それによって市場のリスクを軽減できるのです。
アブネシュ・パンデイ氏
ジェネラル・マネージャー
「本格的なデータウェアハウスが必要でした。取り扱うのは純粋に監視のために存在するデータでありながら、疑わしいものについては調査担当者が、また場合によっては我々の研究者が利用する可能性もあるからです。SEBIはプロアクティブ(能動的)に動く規制機関と見なされていますから、この種のソリューションを導入するにあたっては、それにふさわしい基準を重視します。つまり、「ちょっと待て。誰かがあなたを見ていますよ」という抑止効果が発揮されなければなりません。これは証券取引所へのプレッシャーにもなります。取引所でも予備的な監視は行いますが、しばしばその目的が、取引をリアルタイムに処理するシステムの機能性、俊敏性、高速性を積極的にアピールすることになりがちだからです」(パンデイ氏)
SASの導入によって有罪と判断できるケースが増え、不正行為という判決が下されるまでの期間も短縮する、とSEBIは期待している。
「このシステムを使う理由を突き詰めて言うなら、有罪率を高めるため、ということになります。SASを使うことで、不公平な取引で投資家を欺こうとする悪質な行為を防止し、それによって市場のリスクを軽減できるのです」(パンデイ氏)