ノルウェー・オスロ刑務所

SASソリューションを利用したオスロ刑務所でのバランス・スコアカード導入成果

ノルウェー・オスロ刑務所でのバランス・スコアカード導入への道のりは、平坦なものではなかった。旧態依然とした組織編成に加えて費用対効果の低い管理体制 -こうしたお役所的な慣習は、多くの公的機関の実態としては珍しくなく、所員の高い転職率や予算の問題など、非効率的な状態を生んでいた。1997年からオスロ刑務所の責任者を務めているAre Høidal所長は、「オスロ刑務所には、経営の全体像、そしてあらゆる側面を制御できるツールが必要でした」と語る。

その要望は、SASが提供するバランス・スコアカードソリューションによって実現した。所長は、刑務所がこのソリューションによって多くの利益を得られることを確信している。「バランス・スコアカードの導入により、オスロ刑務所での、総合的な判断や管理がより明確になり、コントロールしやすくなるでしょう」

現在、オスロ刑務所には350人の収容者がいる。その収容者の半分は再拘留されており、残りは刑に服している。そして毎日新しい6人の収容者が刑務所のメインゲートを通って入所し、同じく毎日6人が釈放または移送されている。


システムの適用においては、SASのスタッフとソリューションが大きな役割を果たしてくれました。非常に広範囲に及ぶサービスを受けながら、ユーザーフレンドリーなシステムを得ることができました

Are Høidal氏
Prison Governor

The Magic Number

「刑務所の管理業務には、かなり多数のパラメータがあります。これらのパラメータは数値測定が可能なため、その制御にはバランス・スコアカード・システムが最適であると判断しました。SASで構築されたバランス・スコアカード・システムには、25の測定パラメータを備えたコントロール・カードがあります」と所長は述べている。

これらの25のパラメータは、オスロ刑務所での収容者の状態や、所員の業務に関する全ての項目をカバーしている。たとえば、業務に従事した日数、保護房への警官の巡回数、収容者の不満あるいは満足度などである。その他に、収容者への面会者数、麻薬の使用、逃亡未遂の有無などもカバーしている。オスロ刑務所のバランス・スコアカードは、所員の暴力への関与、脅迫、休暇、病欠、業務能力、満足度、さらには予算編成、国内におけるメディアへの報告数といった項目までも管理可能である。

刑務所でのバランス・スコアカードの導入には、刑務所内部からのプレッシャーからだけではなく、外部からの要求も大きく受けて導入されるに至った。「犯罪の管理における新しいガイドラインや技術的な必須条件は、1997年~1998年の国会報告書第27番により方向付けられました。つまりより目標志向を高めなくてはならなくなったわけです。特に、一人ひとりの収容者に対してより厳格な追跡調査を必要とし、迅速な刑事処理の実現が求められています。そのために刑務所は、今まで以上に効率化させるべく、より優れた制御および意思決定のツールを持たなければなりません。各方面からの情報収集、そして Statskonsult社の助言により、バランス・スコアカードの導入という解決策に到達したのです」と所長は述べている。

2000年、オスロ刑務所は新しいツールとしてバランス・スコアカードの初めての導入を決定した。そして2001年9月には、バランス・マネジメントの開発に着手。2003年春には、刑務所は、作業工程の決定、重要項目やデータ収集の分担を含む、ソリューション導入への最終的段階に入った。

More Criminal Care for Everyone

「第一フェーズでは、Statskonsult社の多大な技術協力を得ながら、バランス・スコアカードを手作業で設定しました。現在、第二フェーズに入っていますが、バランス・スコアカード・システムに実際のデータを統合し、より効率的な管理が可能になっています。システムの適用においては、SAS のスタッフとソリューションが大きな役割を果たしてくれました。非常に広範囲に及ぶサービスを受けながら、ユーザーフレンドリーなシステムを得ることができました」と所長は述べている。

オスロ刑務所でのバランス・スコアカード導入の結果は、今回の実施が投資金額に十分見合う価値があると証明している。「バランス・スコアカードは、適切な方法で刑務所業務の技術的な質の向上を実現しました。それは、長期的に見て常習的な犯罪数の縮小につながるでしょう」と所長は語っている。さらに、効率的な予算管理が可能となり、2002年の初めには500万クローネ(約7,964万円:1クローネ=15.93円、2004年7月現在)もあった債務が、その年末にはゼロになった。

「あらゆる面でより効果的な情報伝達が可能となり、調和のとれた組織体制を実現できました。その結果、2002年には技術的な課題をすべてクリアできたのです」と所長は述べている。

「技術的な課題へ向けての投資額の増加は、収容者と所員、双方の安定へとつながります」と所長は続ける。「バランス・スコアカードの導入の結果として、所員は献身的になり、モチベーションも向上し、また、病欠や転職率も下がる傾向が見られ、収容者と外部の人々とのネットワーク、および公共事業機関などとのよりよい協力体制が生まれました。より優れた管理体制と全体的な効率化に向けて、今後さらに努力していくつもりです」

Oslo Prison
Are Høidal氏 Prison Governor

課題

より適切な意思決定のためのKPI策定

ソリューション

SASのバランス・スコアカードソリューションを通して、より優れた管理体制と全体的な効率化の達成

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