高度なアナリティクスでさらなる飛躍をめざす

DER Touristik Köln社:SAS®を活用して航空券・ホテル宿泊の需要予測と想定外の事態への対応を両立

航空券やホテルの宿泊といった旅行商品は、予約の変更やキャンセルが頻繁に発生する。飛行機やホテルの空きが埋まらなければ、旅行会社は何らかのコスト負担を強いられるため、これらの最新情報の包括的な把握は、彼らのビジネスにおいて極めて重要となる。

SASは、戦略的で有効な意思決定に役立つデータを担当者に提供してくれますし、旅行の計画や宿泊施設の微調整など目的地に関係なく支援してくれるため、顧客のニーズに効果的に応えることができます

クリスティーナ・ドルスコヴィチ
(Christina Drskovic)氏

経営管理・支援システム責任者

ドイツ語圏を代表する旅行・観光企業グループの1つである「DER Touristik Köln社」は、自社のサービスに関するよりスマートな意思決定を行うためには、正確なデータを自由に活用できる環境が不可欠だと考えていた。同社がSASのビジネス・インテリジェンス・ソリューションとアナリティクス・ソリューションを採用した理由は、まさにここにある。SASのソリューションによって、従業員は変動の激しいビジネス環境において、常に最新の情報を正確に把握できるようになっている。

幅広い分野の意思決定をサポート

DER Touristik Köln社では、20年以上にわたってSASのデータマートを利用する中で、データ量の増大や新たな情報に対するニーズ、さらにはマネージャー/業務部門の期待の変化に対応して、継続的にシステムを進化させてきた。現在、同社では販売、商品管理、プロモーションといった様々な部門で300人を超えるシニアマネージャー、意思決定者、エキスパートたちが、業務および経営戦略の意思決定のためにSAS Visual Analyticsを活用している。

このソリューションがレポートの作成に使用するデータは、主に4種類のデータマートに保存されている。これらは販売、フライト・パフォーマンス、ホテル・パフォーマンス、商品の管理をサポートするものだが、この他にも数百種類もの追加のデータソースも利用可能だ。旅行業務の担当者は、これらのデータマートを駆使して販売、移動時間、カタログID、販売地域などに関する高度なクエリを実行できるようになっている。

DER Touristik Köln社のBIプロジェクト担当マネージャー、ヘルベルト・グロスマン(Herbert Grossmann)氏は、次のように説明する。「SAS Visual Analyticsを使えば、信頼性が高い実用的な洞察を、極めて迅速に導き出すことができます。当社のIT部門は、業務部門のチームが複雑な分析を行う際に有効なSASの機能を高く評価しており、分析技術に詳しくない従業員でもビジュアルなデータ発見・探索を各自で行えるようになっています」

航空便の需要と空席状況の予測

旅行会社のコスト全体で大きな割合を占めているのが航空運賃だ。DER Touristik Köln社が利益を確保できるのは、フライトの空き状況を正確にコントロールして、運行時に空席が出ないように過不足なく旅先へ向かう乗客の予約を確保できた場合に限られる。こうした厳しい状況の中で、同社のエキスパートはSASを使って過去の手配状況、旅行の傾向、顧客の好み、休祝日の状況に関するデータを分析して、会社が取り扱う旅行先50ヶ所へのフライトの将来的な需要予測を行っている。正確な予測を行うことで、購買部門は必要となる正確な数の座席を最も有利な価格で、十分に早い段階で確保できるのだ。

購買部門はまた、SASを活用して会社が利用できる航空券の供給量を、購入時点から出発日まで継続的にモニタリングしている。これらの情報によって、可能な限り多くの航空券を販売できると同時に、座席が不足していることがわかった場合、必要に応じて追加の航空券を発注することもできるのだ。

DER Touristik Köln社の経営管理・支援システム責任者、クリスティーナ・ドルスコヴィチ(Christina Drskovic)氏は、次のように話す。「目標は購買した座席数と顧客の需要との最適なバランスを保つことです」

Hotel room bed light phone

ホテルの予約を十分に確保

同様に、顧客が望む目的地のホテルの空室を、最も魅力的な価格で必要な数だけ確保する業務も、変動的な要素が強い。購買担当者はアナリティクスを活用して前シーズンを分析し、過去のホテル手配の実績が地域別にどのように推移したかを把握する。これにより、今後のシーズンで必要となる客室の予約数を正確に判断し、予測需要に見合った価格を決定できるようにホテル側と交渉するのだ。DER Touristik Köln社では、旅行市場における将来の傾向を早期に認識して、取引を有利に進めるためのツールとしてもSASを活用している。

想定外の事態のための計画

ビジネス・インテリジェンスの活用は、単に望みうる最良の結果を生み出すための計画策定といった範囲にとどまらない。この他にもSASは、想定外の政治危機や自然災害への備えや対応に関する取り組みも支援している。たとえば、空港でのストライキなど治安状況の悪化、あるいは火山の噴火などの自然災害が発生した場合には、旅行客を速やかに避難させることが求められる。

このような事態においては、SASのアナリティクスで既存のフライトデータを評価して、危険なエリアから旅行客を航空機で迅速に脱出させるための代替シナリオを作成する。マネージャーはこれらの選択肢を検討して、最も適切なルートを選択することが可能になる。

また緊急事態の際には、その影響範囲を素早く把握・分類するためにもSASは役立つ。たとえば、自社のツアー客がどの場所に何人いるかを瞬時に把握でき、さらに経営レポートを活用することで、根拠にもとづく意思決定が可能になり、旅行客、メディア、政府機関との意思疎通を簡素化・円滑化することもできる。

「DER Touristik Kölnは過去20年以上にわたり、日常業務と危機的状況への備えのどちらに対しても、SASをフル活用してきました。SASは、戦略的で有効な意思決定に役立つデータを担当者に提供してくれますし、旅行の計画や宿泊施設の微調整など、目的地に関係なく支援してくれるため、顧客のニーズに効果的に応えることができます」(ドルスコヴィチ氏)

DER Touristik

課題

  • 航空券やホテルの予約に関する需要を予測する。
  • 政治危機や自然災害が発生した場合に旅行客を避難させる。

ソリューション

SAS® Visual Analytics

導入効果

  • 航空券やホテルの客室を正確な数で早期に購買して、収益性を最適化できるようになった。
  • 想定外の事態の際に、旅行客を迅速かつ安全に避難させることが可能になった。

本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。