株式会社アプラス
より優れたリテール金融サービスを開発し、さらなる顧客戦略の最適化をはかる
大阪に本社を置く総合金融サービス会社、株式会社アプラス。1956 年に信販会社としてスタートした同社は現在、日本全国へネットワークを拡げ、最高の金融サービスを開発・提供することに日々チャレンジしている。ショッピングクレジットをはじめ、カードや消費者金融、決済、さらにはファイナンスという 5 つの事業をコアとし、あらゆる顧客ニーズに合ったさまざまな商品・サービス・機能を複合的に提供。これにより、エンドユーザーの満足度向上と加盟店のビジネス促進をバックアップし、継続的な成功への好循環を生みだすコミュニケーションサイクルを展開しているのだ。
そしていま、さらなるビジネスの飛躍をはかるために、同社では顧客戦略の最適化に向けた新たな取り組みをスタート。その戦略的マーケティング・インフラの中核となるデータマイニング・エンジンに、 SAS が採用されたのである。今、顧客戦略の最適化に向けた、アプラスの新しい改革プロジェクトがスタートした。
戦略的マーケティングに向けて、新たな情報インフラ基盤の構築を開始
顧客と日々接している現場からニーズを拾い上げ、またマーケットからはシーズを発掘し、新たな『リテール金融サービス』を開発していくこと。そして、ショッピングクレジットやカード、消費者金融、決済、ファイナンスといった機能を複合的に適応させ、顧客ひとり一人のニーズに適応したもっとも効果的な商品を開発・提案していくこと。こうした事業ビジョンを実現するために、アプラスのカード部門ではデータマイニングを駆使した戦略的マーケティングの実践に取り組んでいる。
SAS は、その成功を支えるコア・エンジンとして導入され、顧客を知るための高度な分析ソリューションを提供している。「現在、日本におけるクレジットカードの発行枚数は約2億4千万枚にものぼっています。これは、成人の国民で一人当たり3~4枚保有している計算になり、カード業界はある意味で飽和状態にあるといえます。こうした状況下では、新規顧客の獲得はいうまでもなく、既存のお客様を維持するために、いかにしてお客様との長期的なリレーションシップを構築するかということが重要な課題になります。そこでアプラスでは、お客様のことをより正しく把握し、つながりをもっと深めていくために、SAS のプラットフォームを活用し、システム構築と顧客戦略の最適化をめざしたのです」(株式会社アプラス カード事業部 マネジャー玉置 修司氏)
数百万件規模のデータでもスムーズに対応できるパフォーマンスや将来への拡張性を前提に、私たちのカード事業部だけでなく、アプラス全体のトータルソリューションとして、一番の武器になってくれるものを選択しました。
玉置修司氏
株式会社アプラス カード事業部 マネジャー
データマイニングに SAS を採用
数百万もの顧客を抱えるカード業界では、いかに適切に顧客セグメンテーションを行ない、タイムリーなアプローチをしていくかということが、戦略的マーケティングの普遍的な課題となっている。
「しかしながら、そうしたアクションが取れている金融企業はまだまだ少ないのが実情です。たとえば、コールセンターでの画一的な応対。購買金額が高いお客様にも、そうでないお客様にも同じような応答をしているところがほとんどではないでしょうか。お客様に『私のことを良く解ってくれている』、または『感じの良い会社だな』という印象を持っていただくためには、徹底した顧客分析を行ない、お客様ひとり一人に適切な対応をしていく必要があるのです。そこで私たちは、お客様に関する大量データをタイムリーに、かつ深く掘り下げて分析していくために、エンタープライズ環境に対応したSASのデータマイニング・エンジンを採用しました。これによって、今までできなかった領域の分析を行ない、今後はお客様とのリレーションシップをより深めていきたいと考えているのです」(同部 マネジャー 森 直史氏)。
数百万件規模のデータにスムーズに対応
今回の導入選定にあたって、さまざまな側面から評価が行なわれた。たとえば、従来の環境では、10万件規模のデータをホストシステムからダウンロードするだけで、約1ヵ月の時間を要していた。つまり、情報を取り出した時点で、その鮮度が落ちているといったことが起きてしまっていたのである。
「数百万件規模のデータでもスムーズに対応できるパフォーマンスや将来への拡張性を前提に、私たちのカード事業部だけでなく、アプラス全体のトータルソリューションとして、一番の武器になってくれるものを選択しました。また、顧客データを取り扱うという性質上、高いセキュリティ性も重要なポイントでした。SASは、これらの条件をクリアしただけでなく、充実した各種トレーニングサービスも提供してくれています。世界最高レベルのデータマイニング機能をしっかりと使いこなし、今までの分析では気付かなかったことを発見していきたいと考えています」(玉置氏)。
より費用対効果の高いキャンペーンの実現をめざす
現在、プロジェクトは顧客構造分析とテストマーケティングがはじまったばかりの段階であるが、今後はデータウェアハウスを構築し、顧客戦略を最適化するための統合化された情報系インフラ基盤に発展させていく予定である。
「キャンペーンを実施する際、これまではすべてのお客様に対して、同じ内容の DM や販促ツールを配布していました。これからはお客様を複数のセグメントに分類し、レスポンス率を向上させる費用対効果の高いキャンペーンを行なっていきたいと考えています。たとえば、カードの使用頻度は高いが単価が低いといったお客様に対して一人当たりの収益性を高めるプロモーションの提案、あるいはお客様のロイヤルティを向上させるような差別化されたプログラムの提案など、ワン・トゥ・ワン・マーケティングの実現も視野に入れて活動していければ、と考えています」(同部 マネジャー 山田勝氏)。
こうしたマーケティング戦略の第一フェーズとして、同社では各業種におけるカード提携先との共同プロモーションの強化をめざしている。「まずは提携先の企業様に対してアプローチしていきます。そうしたタイアップを行なう際、私たちのアプラスカードであれば、単なるカード連携にとどまらずエンドユーザー様の分析ができる、というところまで持っていきたいと考えています。SAS による分析環境を、付加価値のついたサービス提供ができる、アクションツールとして高めていきます」(玉置氏)。
課題
既存顧客をより深く理解し、良好かつ長期的なリレーションシップを構築すること。また、提携カード発行先との連携強化。
ソリューション
SAS のデータマイニング・ソリューションにより、さらに費用対効果の高いキャンペーンの実現。また、顧客一人当たりの収益性や顧客のロイヤルティ工場をはかる CRM の実現。