保証/修理サービス関連データにアナリティクスを適用してコスト削減を実現
SASの導入後は、疑わしい保証請求を1分未満で特定
99%
需要予測の正確性
この成果に貢献した製品/ソリューション: SAS® Analytics • SAS® Enterprise BI Server • SAS® Forecast Server
American Honda Motor社、SAS®を活用して保証請求審査プロセスを改善し、高精度なパーツ/修理サービス需要予測も実現
米国のAcuraまたはHondaディーラーに乗用車やトラックが持ち込まれたとき、店側では修理や点検だけを行っているわけではない。サービス・エンジニアは車両が持ち込まれるたびに修理に関するデータを入力しており、American Honda Motor社に対する保証請求などの情報が同社のデータベースに直接格納されるようになっている。このデータベースには、実施した作業の種類、顧客の支払額、サービス・アドバイザーのコメントなど、多くのデータポイントが含まれている。
現在、全米で1,200店舗を超える同社ディーラーへの車両持ち込みは1日あたり数十件にのぼり、毎日その数だけ上記のプロセスが繰り返されている。つまり、American Honda社はビッグデータを保有している、ということだ。そして、そこから洞察を導き出し、データを有意義な企業資産に変えることが、同社のアドバンスト・アナリティクス・グループのアシスタント・マネージャー、ケンドリック・カウ(Kendrick Kau)氏のような役職者の責務である。
年次ベースの実績を振り返ってみると、予測からのズレは1%以内を維持し続けています。 ケンドリック・カウ(Kendrick Kau)氏 アシスタント・マネージャー、アドバンスト・アナリティクス・グループ American Honda Motor社
保守整備サービス業務を効率化するために保証関連データを精査
他の大手自動車販売会社と同様、American Honda社はディーラー網との連携を通じて、車両に対する保証修理を実施している。この領域では多大なコスト負担が生じかねないため、同社では、保証請求が申請された時点で、アナリティクスを活用して申請内容の完全性と正確性を確認するようにしている。
保証請求が申請されると、カウ氏のチーム(アドバンスト・アナリティクス・グループ)は、ディーラーが適切な保証対応プロセスを理解できるよう支援するために、有益な情報をオンライン・レポートの形でディーラーに提供する。
会社が不適切な保証対応コストの削減という目標を掲げたとき、同氏のチームはその達成をサポートするために、修理作業、パーツ、顧客、その他の詳細に関する情報をふるいにかけ、コスト削減の機会を特定する必要性に直面した。そして彼らが選択したのは、ビジネス・インテリジェンスとアナリティクスの環境に対して、SASを基盤とするビジュアルなアプローチを導入することだった。
保証対応支出の削減に向け、同氏のチームはSASのアナリティクスを活用して独自のプロセスを開発した。その目的は、精査にかけるべき疑わしい保証請求を日次ベースであぶり出すことによって、既存のガイドラインに準拠した保証請求のみが保証修理の適用対象となるようにすることだった。それ以前の同社では、疑わしい保証請求を特定・精査する取り組みは手作業が中心であり、煩雑で時間がかかっていたという。
「SASの導入前は、Microsoft Excelのスプレッドシート内で保証対応データを集約およびレポート化するために、1名のスタッフが毎月1週間を費やしていました」とカウ氏は振り返る。「今ではSASのおかげで、簡単にアクセスできるオンライン・ダッシュボードに同じレポート群を自動的に表示できますから、1週間分のマンパワーを他のプロジェクトに投入できています。」
アドバンスト・アナリティクス・グループが保証関連データにSASのアナリティクスを適用したことで、保証請求審査グループとディーラーの現場担当者は、不完全/不正確/不適正な保証請求を迅速かつ的確に特定できるようになった。その結果は目を見張るものだった。
「元々、調査担当者は、不適正と疑われる保証請求を特定するために平均3分以上の時間をかけていましたが、それでも、本当に不適正な保証請求を発見できる確率は35%にすぎませんでした。今ではSASのおかげで、1分足らずで疑わしい保証請求を特定することができます。また、それしか時間をかけなくても、不適正な保証請求を発見できる確率は76%に達しています」(同氏)。
こうしたワランティ・コンプライアンスの強化は、American Honda社にとって十分に採算の合う取り組みだ。同社では、保証請求分析の高度化(および、ディーラー網に対する教育の拡充)の結果として、労働法規の遵守を維持しながら、人件費を52%も削減することに成功したという。
American Honda社に関する事実と数字
3倍
保証請求分析が高速化
$$
人件費が低減
1200
全米のディーラー店舗数
将来のニーズを予測するためにサービス実績データを活用
American Honda社のアドバンスト・アナリティクス・チームでは、サービス内容やパーツ使用の実績データも活用している。その狙いは、ディーラーが車両の修理に必要なパーツを常に確実に利用できるようにすることで、顧客との絆を強めることにある。アフターサービス業務では、適切なパーツを適切なタイミングで利用できることが何よりも重要だ。そのため、入力された車両修理データは、同社のマーケティングおよび顧客維持の取り組みに直接反映されるようになっている。
カウ氏は次のように説明する。「私たちはマーケティング・チームのために戦略的な洞察を提供しています。お客様の足をディーラーに向かわせ、ひいては弊社のブランドへのロイヤルティを維持するための施策立案に役立ててもらうのです。Hondaの目標は、オーナ様に一生涯ご愛顧いただくことです。私どもの願いは、お客様に良好な体験をお届けすることであり、その方法の1つが卓越したサービスの提供なのです。」
American Honda社では、将来のサービス需要を満たす十分なリソースを確保できるよう事業計画プロセスを支援するために、SAS Forecast Serverを活用している。カウ氏のチームは、まず、修理の発注と保証適用認定に関する履歴データを利用して、過去数年の修理に関する時系列情報を取りまとめた。この時系列情報を販売データと組み合わせて分析すれば、同社にとって最大のチャンスがどこで発生するかを数年先まで予測することも不可能ではない。
「私どもの目標は、修理のためにディーラーに来店されるお客様の数を予測するために、稼動中の車両の台数を予測することです。それが分かれば、確保すべきパーツの在庫数を割り出すことが可能となり、修理の需要を満たすための人員配置計画にも役立ちます。年次ベースの実績を振り返ってみると、予測からのズレは1%以内を維持し続けています。これは予測として極めて優秀な数字であり、SASソフトウェアの能力によるところが大きいと考えています」(同氏)。
顧客からのフィードバックがビジネスの推進力に
American Honda社では、顧客アンケート調査のデータを素早く評価する目的でもアナリティクスを活用している。アドバンスト・アナリティクス・グループは、SASを活用して調査データをマイニングすることで、車両の使用状況に対する洞察を導き出したり、顧客満足度の改善に最も効果のありそうな設計変更を特定したりしている。
顧客アンケート調査データの検討は週1回のペースで行われている。カウ氏のチームが行うのは、SASを活用して、設計/製造/エンジアリングなどの部門にとって要注意と思われる最新トレンドにフラグを立てるところまで。SASのソリューションでは、ビジネスユーザー自身が、概略レベルの問題を把握するための画面から、より具体的な情報へとその場でドリルダウンして、潜在的な根本原因を理解することができるからだ。
カウ氏は次のように説明する。「このデータを調べることで、お客様のご要望が見えてきます。それがひいては、具体的な取り組みの対象となりうる数多くの疑問につながるのです。例えば、『このコンポーネントは最適な方法で設計されているか?』、『これはお客様への啓発・啓蒙で解決できる問題か?』、『これは製造プロセスで対処すべき類の問題なのか?』といった疑問です。今ではSASのおかげで、手持ちのデータを有効に活かして、こうした重要な疑問を特定できるようになっているのです。」
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。