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エー・シー・エス債権管理回収株式会社
“テック・サービサー”として、仕事のやり方を根本的に変えていく
エー・シー・エス債権管理回収株式会社がこの事例で活用した製品 • SAS® Enterprise Guide • SAS® Enterprise Miner™ • SAS® Visual Analytics • SAS® Credit Scoring • SAS® Data Integration Server • SAS® Marketing Optimization • SAS® Marketing Automation • SAS® Financial Management
本来、債務者の方々は、私たちのところへ来ない方がいいわけです。そのため、私たちは債務者の方々が正しい生活を取り戻すことを支援するという心構えで業務に臨んでいます。実際に、イオンカードの与信審査を担うイオンクレジットサービスと一気通貫でデータ分析するなど、回収が困難になってしまう人を極力減らす取り組みにも着手しました エー・シー・エス債権管理回収株式会社 代表取締役社長 表寺 務氏
“テック・サービサー”として、
仕事のやり方を根本的に変えていく
エー・シー・エス債権管理回収株式会社(以下、ACMC)は、イオングループに属する債権回収のプロ集団だ。創業以来、イオンカードの債権回収をビジネスの中心としてきたが、他社からの回収業務の受託や債権の譲受も拡大しており、ビジネスは成長している。
人材不足を補うDXへの取り組み
債務者へのアプローチ方法には電話、文書送付、SMS、法的手続き等があるが、サービサー各社で大きな違いはない。また、アプローチ方法の選択・タイミング等については、スタッフの「経験と勘」に依存する要素が大きく、属人化しがちである。会社が成長を続けるためには、回収ノウハウの標準化や、その妥当性の検証・見直しを行い、時代の変化にタイムリーに対応していくことが必要であると考え、代表取締役社長 表寺 務氏は、「データ活用型の債権回収モデル構築」に突破口を見出した。
「国内で債権回収モデルを構築した事例を聞いたことはなかったのですが、調べると少数ながら海外にはありました。比較的高品質なデータは蓄積できていたため、それを分析すれば効率的な回収をできると考えたのです」(表寺氏)
債権回収業務は新しい手法にチャレンジしやすい環境
イオングループの金融各社は、管理会計でSASを活用するとともに、分析用データベースを構築していた。同社もSASを管理会計に活用しており、債権回収モデルにSASを利用するのは自然な流れだったという。同社は2016年、まずはSAS Enterprise Guideを導入。扱いやすいユーザーインタフェースでSASのコンセプトに慣れながら、債権回収モデルの基礎を固めた。翌年にはSAS Enterprise Minerを採用。より高度な統計解析をモデルに組み込むとともにSAS Visual Analyticsを稼働、分析結果や債権状態について、セキュリティを担保した上ですべてのスタッフが共有できるようにした。さらに2018年、これまでの分析・モデリングをベースとし、いつ・誰が・どのような手法で回収施策を実施するかを最適化、自動化するために、SAS Marketing Optimization/SAS Marketing Automationを 導入、取り組みを開始した。
データマネジメントグループ マネージャー 林田 俊和氏は、「約40本のモデルを構築しました」と話す。「債権状態や督促施策に応じて複数のパターンを用意することもありますし、受託業務には別のモデルが必要になります。日々運用を続けながら、随時回収現場からアイデアを上げてもらい、“まずはやってみよう”というアプローチでモデル化に取り組んでいます」。
経営企画部 部長 原田 太輔氏は、「与信業務なら、モデルに不具合があればビジネスに大きな影響を与えかねません。一方、回収業務はその点で自由ですから、チャレンジしやすいのです。現場も、“いまより少しでも効率化できる可能性があるならやってみよう”と協力的で、うまくいったモデルをブラッシュアップしていく方向で進めています」と話している。
回収に至るまでのプロセスも数値で可視化しており、KPIとして利用することで問題点も発見しやすくなっている。ビジネスにおける成果としては、最終的な回収率が0.1%改善するだけで、約5,000万円の価値を得られる計算になるが、SAS導入後は回収率が0.2%改善した。これは、債権回収モデルの適用業務以外も含む全体の変動ではあるが、導入効果は顕著に表れている。
同社の取扱債権残高は約1000億円に及んでおり、今後債権回収モデルの適用範囲拡大や高度化の推進による伸びしろはまだまだ大きい。
業務も変わった。債務者とのコンタクト手段は、法令による禁止事項や独自のポリシー、人的リソース、電話回線数などの制約条件を充たした上で、債権者ごとに最適化している。業務が効率化されたため、受託営業の余裕も生まれた。取引先からは、「他社は“これだけ電話かけます”と提案するけれど、ACMCさんは違いますね」と驚かれることも多いという。債権状態をスクリーニングして、回収の方法論を組み立てながら説明できるためだ。
AIとDXの加速でさらなる成長へ
分析サイクルをさらに高速化させるため、AIの利用も開始した。1件あたり約600項目のデータを読み込ませ、高速にモデルを作る。林田氏は、「AIモデルの場合、“朝の8時から9時の間に10000件の電話をかける”といった非現実的なプランが出てくることもあります。アイデア出しと、施策を実行可能な形で現場に落とすのは人の役割になります」と話す。現在は、統計解析とAIを併用し、融和させながら活用の度合いを深めている段階だ。
同社は今後、さらにDXを推進する。その中心になるのがSASだ。経営企画課 白井 翔大氏は、「債権回収業務におけるFintechを具現し、仕事のやり方を根本から変えていくことで、“テック サービサー”と呼ばれるような存在を目指します」と話す。原田氏も、「債権回収業と言うとネガティブなイメージを持たれる方も居るかもしれません。しかし、こうして分析を業務に生かし、成果を出し続けることで、スマートな職場という意識付けを図ります」と今後を展望する。
SASを使い始めてから、同社の業績は大きく伸びている。いまでは、国内で業界4位にまで成長した。表寺氏は、「SASを活用してDXを推進したことで、他社より半歩か一歩は進んでいると自負しています。他社とは全く別の視点から回収施策を提案するなど、サービスレベルの高さにおいて、唯一無二の存在になることを目指します」と話している。
エー・シー・エス債権管理回収株式会社でのSASの活用
業種
Finance
課題
DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みの一環として、AIなどの先進技術を使用し、債権回収業務を効率化・高度化したい
利点
債権回収効率向上と顧客提案力向上によって、国内のサービサー市場で4位に浮上。さらなるDXの加速により、ナンバーワンを目指す
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。